フランスのファッションにはサステイナブルなアイデアが詰まっていた

フランスのファッションにはサステイナブルなアイデアが詰まっていた

朝身支度をしながらなんとなく流していたユーチューブのビデオ。フレンチシック・ファッションに関する内容だったのに、予期せぬことにサステイナブルにファッションを楽しむアイデアが隠されていた。

観ていたのは、2000年代にモデル・TVホストとして人気を得て以来ファッションアイコンとして知られ、自分のファッションブランドも展開する Alexa Chung(アレクサ・チャン)のビデオ。実は彼女は現在、自分のユーチューブチャンネルも持っているのだ。

このビデオは、Alexa Chung の「フランス人みたいに服を着たい!」の巻みたいな感じ。イギリス人である彼女が、フランス人のファッション・ジャーナリスト Camille Charriere (カミール・シャリエー)のクロゼットを訪ね、フランス人のファッションの秘密を探るエピソード。

とても興味深いのは、このビデオはサステナビリティに一切触れていないのに、等身大のフランス人女性のファッションには「ファッションをサステイナブルに楽しむヒント」が隠れていると感じたこと。彼らのファッションには、フレンチシックだけでなくサステナビリティの考え方が、もはや無意識の内に伝統的に根付いているのかも!?と感じたよ。

※この記事で書かれているフランス人の特徴はあくまでビデオから得た情報を参考にしたものです。特定のイメージでくくることが目的ではありません。

Image capture via Alexa Chung Youtube

トレンドにとらわれない

Image capture via Alexa Chung Youtube

まずは Alexa と Camille のおしゃべりでこのエピソードは始まる。フランスとイギリスにルーツを持ち、フランスで生まれ育ったのち現在はイギリスに住んでいる Camille。彼女はフランスとイギリスのファッションの違いについて聞かれるとこう答えた。

フランスではトレンドが重要ではない。それはショッピングにも違いとして表れる。

イギリスのようにオンラインで大量にオーダーするような買い物はフランスではあまり一般的ではない。週末に実際にお店に出向いて、試して、永久に着られるものを探す

似合うものや着たいものを選んで自分のワードローブを作っていく。

結局はファッションというより、服を着て自分がどう感じるかが一番大事

THE LITTLE WHIM 意訳

Camille の言う、永久に着られるものとは?

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その中でも特に重要になってくる “The Classics” (定番)についてじっくり語るべく、2人は Camille のクロゼットに向かう。

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フランス人の定番 その1
自分にぴったり合うヴィンテージ・ジーンズ

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1つ目のアイテムはヴィンテージ・ジーンズ。Camille は自分の体に合うジーンズを求め、ヴィンテージショップに入ってはとにかく履いてみることを欠かさないとか。

彼女たちはファッション・ピープルなので新しいお気に入りをコンスタントに見つけることにも言及しているけれど、そうでない人にも参考になるヒントは頻繁に身につけるジーンズこそ溢れるヴィンテージの中からぴったりのものを見つけるということ。デニムは製造における水質汚染が特に激しいアイテムなので、すでに存在するヴィンテージを選ぶことは新品を買うよりはサステイナブルな選択であると言える。

新しく作られるジーンズには着心地を高めるために伸縮性のある繊維が混合されている、いわゆるストレッチデニムも多いけれど、ヴィンテージで見つかる王道のデニムは分厚くて硬い。でもそれが定番で長く着られて、自分を一番よく見せてくれるジーンズであると話す。

2人揃ってニヤッとしながらジーンズの教えを。

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いいジーンズは居心地悪いよ。快適なジーンズなんて、嘘だからね!

でも本物のジーンズは、一番かっこよくセクシーに見える。

THE LITTLE WHIM 意訳

ウエスト部分に大きく穴の空いたデニムを出してきた Camille に対し、Alexa は「これだと私の背中の皮膚にあるストレッチマークが見えちゃうよ」と。Camille のそれに対する答えが印象的だったので記しておく。

自分にある不完全なところはそのままにするのがフランス流。

アラを隠すコテコテなメイクアップをするよりは欠点が見えていた方がいい。ちょっとくらいのシワはあった方がいい。

フィルターをかけたプラスチックの人形のように見えたくない。

THE LITTLE WHIM 意訳

ジーンズの着こなしについても Camille からアドバイスが。彼女が合わせるのはある程度フィットするシンプルなTシャツやカーディガンなど。自分の体のラインを楽しむのがフランス流だとか。色を使い過ぎないのもポイントだそう。

フランス人の定番 その2
ジェーン・バーキンがお手本のバスケット

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まさしくジェーン・バーキン風のバスケットを見つけた Alexaは「これって今もまだアリなの?」と。Camille はどうしてバスケットがフランス人にとって永遠にアリなのかを説明してくれる。

なんてことないバスケットは、デザイナーやブランドを主張しない

フランス人女性は自分が身につけているものをどこで買ってきたのか、特別知られたくないんじゃないかな。匿名性がある方が、自分のパーソナリティが生きるし、自分だけのユニークなものになる

イギリスでは多くの人がもっとブランドやトレンドを気にしている。だから彼らは数ある部族のどれかに属しているみたい。

THE LITTLE WHIM 意訳

これには私は個人的に大賛成。トレンドには廃りがあるし、そのサイクルは速くなる一方。トレンドであることより、好きかどうか・自分らしいかどうかでものを選んだ方が長く愛せるし、それは結果的にサステイナブルでもある。天然素材のバスケットは自然に還元しやすい場合が多いというのも含めてね。

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フランス人の定番 その3
フランス水兵風のボーダーシャツ

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「ボーダーを着るのってフランス人としてお決まりみたいで陳腐?」という Alexa に対して、「まさか!ホームって感じだし実際一番好きなものよ」と答えた Camille。

特に多くは語られなかったけれど、印象としてはやはり着慣れていて着こなす自信があるものは、長く大切にしていけるアイテムになることが多い。フランス人にとってボーダーはその安心感がある場所なんだろうね。

フランス人の定番 その4
バリエーション豊かなリトル・ブラック・ドレス

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続いて、所有しているいくつかのリトル・ブラック・ドレスを見せてくれた Camille。丈・スタイル・素材など様々だけれど共通しているのは、当然ブラックで、そしてカットは比較的シンプルなものが多いということ。

着回し方によってドレスアップもダウンもできて、重ねたりそのまま着たりと季節を問わない。そして何より永遠の定番であるリトル・ブラック・ドレスは長い間楽しむことができる

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シューズについて

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お次はシューズ。さすがファッション・ジャーナリスト!Camille のシュークロゼットにはたくさんのアイテムが並んでいる。現実にはこんなに持っている人はまれだと思うけれど、参考になるアイデアはあった。

「今まで定番を見てきたけれど、シューズも定番にこだわる?」という Alexa の質問に対し、Camille はこう答える。「シューズは楽しみたいところ。おもしろみがあってセクシーなものがいい。だってほぼ毎日ジーンズを履いているから、足元は遊びたい。」とはいえ、シューズ選びに共通するポイントはあるよう。

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私の場合は例えば細いストラップのサンダルが大好き。何も考えなくてもどんな格好にも合うとわかっているから私の中で鉄板のシューズ。メリージェーンも似たようなものをいくつか持っている。

絶対に自分が好きだと知っていて、絶対に履くとわかっているシューズは何足か揃える。自分の好きなものを知っていることが大切

そしてそうゆうシューズは実際何度も履くので、汚れや傷みが出てくる。私にはどんなものでも修繕してくれる行きつけのお直し屋さんがあるから、本当に大好きなものは例え多少デザインを変えなくてはいけなかったとしても、直すようにしている次々と処分して新しいものを買い足すより修理して長く使うことが大切

THE LITTLE WHIM 意訳

パチパチパチ。これはファッションを愛する、そしてサステイナブルにファッションを楽しむという両方の点において、最も大切なこと。たくさん使うことは愛だし、直すことも愛だし、それは地球への愛でもある

コートについて

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最後はアウターウェア。Camille は「大きくてオーバーサイズなコートが好き!」と。「中に何を着ても大きめなら問題ない。クラシックなものを選ぶことが多いかな」という彼女に対して、Alexa はこんな質問を。「いつも気になってたんだけど、フランス人女性はジムに行くの?行くとしたら、ジムウェアの上に大きいコートを羽織って行くの?」Camille はこう答えた。

Image capture via Alexa Chung Youtube

フランス人はジムに関する話はしたくない。

もちろん、ジムには行く。でもジムにジムウェアで行くことはしない。ジムで着替える。

とにかくただジムの話はしないだけ。これはフランス人の秘密。

THE LITTLE WHIM 意訳

Alexa、よく聞いてくれた!

私は前職では年に数回パリに出張があり、出向くたびにいつも疑問に思っていた。ニューヨークはジムが至る所にあるし、いわゆる athleisure (アスリージャー: アクティブウェア兼普段着のファッション)が溢れていて、そしてワークアウトの話題も多いのに対して、パリではその気配すら感じない。

それはジムに行くこと自体が秘密だからだとは!でもそれって実はいいことかも。数年前から athleisure はファッションのカテゴリーとして確立しつつあり、スポーツブランドもファッションブランドも、その領域でビジネスを拡大している。消費者も、ジムウェアに機能性や着心地だけでなくスタイリッシュさを求めるし、数も多く所有するようになりがち。

しかしジムウェアがあくまでジムの中で着るだけの「運動着」だったら、必要以上の消費を抑えられる。運動する際に気に入ったウェアを着て自分の気持ちやモチベーションを上げることも大切だけど、athleisure トレンドはややいき過ぎているし、ジムウェアには分解不可能な化学繊維が依然多く使われていることも含めて、サステイナブルではないからね。


16分程度のビデオ、見終わって得たのはフレンチシック・ファッションの秘密と、直接は語られていないけれど確実にそこに感じたサステイナブル・ファッションのスピリットだった。

「こういった素材を選ぼう」「このブランドがいい」「消費を減らそう」といった具体的なサステイナブルなアイデアではない。もっとコンセプチュアルな部分で、でも実はそれは意識改革の上で重要。

ファッションの中心であるフランスが伝統的に培ってきたファッションの考え方は、ファッションの本来あるべき姿がベースになっているはず。だからこそ、サステイナブルなヒントが詰まっているのかな。

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