東京とニューヨークの地下鉄で感じる3つの違い

東京とニューヨークの地下鉄で感じる3つの違い

少し長めの一時帰国から、ニューヨークに帰ってきた。ニューヨーク在住が長くなると、育った街である東京を以前と異なる視点で見るようになることがある。

今回は、東京の地下鉄とニューヨークのサブウェイにおける3つの違いについて書いてみる。東京とニューヨークは、都市の公共交通が発達しているところが共通している。車の運転をしない私にとっては、電車・地下鉄・バスは貴重な移動手段だ。(ニューヨークの中心部では、電車は地上ではなく地下を走っている。)

その中で感じる違い – どちらが正しいもしくは間違っている、ということを論じたいのではなく、東京で過ごした時間の中で、「そういえば私の住むニューヨークではそうじゃないなぁ」と感じたことをまとめる。

1. 「すみません」と “Excuse me”

東京の混雑した地下鉄車内や駅構内では、他人と体が触れたり、目の前ギリギリを誰かが横切る場面に出くわすことが多い。その際、「すみません」という言葉はなく無言の人が多いことに気づく。

アメリカで “I’m sorry” と迂闊に言ってはいけない、というのは昔から言われてきたことだと思う。例えば悪意のない傷害事件を起こし訴訟になった場合、”I’m sorry” の一言を言っていたか否かが、過失を認めたかどうかの論点になる可能性があるというのは聞いたことがある人も多いんじゃないかな。

では実際にアメリカでは誰も “I’m sorry” と言わないのか?そんなことはない。悪いことをしたら謝るというのは子供の頃から教えられていることだし、それよりもっとカジュアルな “Excuse me” は頻繁に耳にする。

“Excuse me” は、誰かに何かをたずねたい時や誰かの目の前を通る時など何かの前の「すみません」にもなるし、聞き返したい時や人にぶつかった時など何かの後の「すみません」にもなる。駅構内の歩行中や揺れる車内の乗車中、近くの人と体が触れそうだったり触れてしまった時に “Excuse me” と言うのがニューヨークでは一般的だ。アメリカでは体が触れ合うことを好まない傾向(日本の乗車率100%を超えるような満員電車なんてもってのほかかも)もあるので、むしろ何も言わないと無礼で横柄に感じ取られる可能性も高い。

東京であれニューヨークであれ、混雑した場で体が触れたりぶつかることは避けられないし、故意ではない。東京は特に混雑が激しくなることがあり、そして体が触れることが当たり前になっているからか、無言で対処するケースが多いんじゃないかな。

2. 溢れる美容整形の広告

東京の地下鉄の中はニューヨークサブウェイに比べて広告が多い。中吊り広告がある(ニューヨークにはない)のに加えて、最近では車内にスクリーンがあり運行状況やニュース番組とあわせて広告コンテンツも多く流れている。

その中で特に目につくのが、美容整形に関する広告の多さだ。昔からテレビコマーシャルも流れていて記憶に残っている有名な「xx美容整形外科」の広告から、「数万円で笑顔に自信が持てる」と謳うカジュアルなものまで、幅広く目にする。脱毛関連もその延長ですごく多い。

これは自宅でユーチューブを観ていた時にも感じた。ユーチューブ上の広告は、その時自分がいる場所によってエリアが切り替わるので、東京滞在中は日本の広告が流れていた。私は美容系のチャンネルを観ることが多く、その合間には「1万円でぱっちり二重」「日帰りでプチ整形!カウンセリング無料」といった内容の美容整形関連広告が何度も登場した。アメリカで同様のコンテンツを観ていてもこういった広告に出会ったことはなかったので、驚いた。

先日、インスタグラムが過剰なダイエットや美容整形に関する投稿が若い世代の目に触れる機会を制限することを発表したのを思い出す。

<参考記事> Instagram will block content that promotes weight-loss products or cosmetic procedures to anyone under 18 (CNN Business)

アメリカでの美容整形利用者が増加していることを踏まえ、ソーシャルメディアに触れる時間が長い傾向にある18歳以下が外見に関する悩みが精神上の健康に支障をきたすことを懸念してのことだ。

地下鉄は世代に関わらず誰もが利用し、その車内にある広告は自然と目に入ってくる。その中に美容整形に関する広告が多い東京は、それだけ多くの人が影響を受ける可能性が高いと感じた。

3. 席は譲るもの?空けるもの?

東京でもニューヨークでも、お年寄りや妊娠中の人、子供連れの人などに席を譲ることは一般的だと思う。ただし、譲り方が違う

席を譲る際、東京では「座りますか?」「どうぞ」などと言葉を掛けることが多い。それに対し譲られた側は「ありがとうございます」「いえ、一駅なので大丈夫です」などとコミュニケーションをとる。一方ニューヨークでは、席を必要としていそうな人の存在を察すると無言でさっと立ち上がり、何もなかったかのようにそのまま立っている人をよく見る。もちろん声を掛ける場合もあるけれど、もうすでに立ち上がっていて、「譲る」というよりは「空き席を作る」といった感じ。譲られた側が座るか座らないかは、その人の自由な判断に任せるかのように。

ニューヨークのサブウェイでは、混雑時であっても東京のラッシュ時のようないわゆるすし詰め状態になることはない。そもそも優先席も存在しない。「席を譲りましょう」といった車内アナウンスもたまに耳にする程度だ。東京の地下鉄は、混雑時は電車のドアが開くとまるで椅子取りゲームのような状態になる。通勤時間がニューヨークに比べて長いケースも多いので、なおさら座席は争奪戦になりがちだ。

そういた地下鉄の混雑事情の違いを踏まえると、席を譲ることは東京ではルール・マナーなのに対し、ニューヨークでは個人の判断なのかな、と感じる。どちらの場合にせよ、譲られた側の「ありがとう」や目で感謝の気持ちを示す合図は大事だよね。


同じように公共交通が発達し利用者が多い東京とニューヨークであっても、細かい点で違いはある。「郷に入っては郷に従え」とは言うけれど、些細なこととはいえそもそも違いを知らないと従う郷すらわからず、違和感が強くなる。

東京からニューヨークを訪れる、ニューヨークから東京を訪れる、どちらの場合であっても、違いを理解すると慣れるのも早くなるんじゃないかな。

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