THE LITTLE WHIM

観たら考え方が変わる!ファストファッションの抱える問題をユーモアたっぷりに説くネットフリックス番組

ネットフリックスで観られるある番組のファストファッションに関するエピソードが非常にわかりやすく、是非オススメしたい。

その番組とは、Patriot Act with Hasan Minhaj(日本題は ハサン・ミンハジ:愛国者として物申す)。

Patriot Act with Hasan Minhaj (Netflix)

この番組は、スタンドアップコメディで舞台に立ったり、情報番組のホストを務めてきた、イスラム系背景を持つインド系アメリカ人である Hasan Minhaj(ハサン・ミンハジ)によるネットフリックス オリジナル番組。様々な社会問題を、ハサンが鋭くかつユニークな切り口で解説する。

現在5シーズンがネットフリックス で公開されており、シーズン中は毎週日曜日かな?に新しいエピソードが追加されるらしい。私自身まだシリーズ全てを観たわけではないのだけど、コメディのように楽しめる情報番組としてすごくおもしろい。

この番組が特別だと思うのは、以下のポイント。

  • 30分程度でテンポがよい
  • 情報が比較的新しい
  • ミレニアル世代の目線で伝える
  • 現代(アメリカ)を象徴する皮肉っぽいジョークが満載
  • 賢くおもしろい感じで口が悪い
  • マイノリティとしての意見がリアル

私は今まで、ファストファッションの裏側について話す際はドキュメンタリー映画である ザ・トゥルー・コスト 〜 ファストファッション 真の代償 〜(2015年公開)をオススメしてきた。

ザ・トゥルー・コスト 〜 ファストファッション 真の代償 〜

今でももちろん観るべき映画だと思うけれど、どうやらネットフリックスからなくなっちゃたみたい(?)。

一方で、Patriot Act の The Ungly Truth of Fast Fashion” のエピソードは、もっと短時間でユーモアも含めながらファストファッションについて斬っていくのでわかりやすいのでは?と思う。2019年11月公開でまだまだ新しく、グリーンウォッシングについてもかなり踏み込んでいるところも◎

アメリカではネットフリックスに加えて、YouTubeで公開されている。日本でも観られるのかな?観られるといいなぁ。

とにかくおもしろくてわかりやすいので、30分のエピソードの中からポイントをかいつまんで解説していく。

私は英語版しかアクセスがないので、訳は全部私がざっくりつけた意訳です。ジョークは際どいものが多いためごく一部だけ拾っていくので、もっとリアルなのは是非番組を観てみてね!

あわせて読みたい

ファッションが好きだろうとなかろうと、着るものは自己表現だよね?着るものは、あなたに関する何かを語るよね?私たちの生活における重要な役割を果たすんだよ。

こうやって始まる”The Ungly Truth of Fast Fashion” のエピソード。しかし問題は、現代の消費主義が過多になっていることであるとハサンは指摘する。

1980年代、平均的なアメリカ人は年間で12枚の衣服を買っていたらしい。一通り揃えて、よしクール!そんな感じだったよね?それが今は、年間68枚にまで上昇しているんだって。それは一重に、あるビジネスの台頭が原因だと言われている。

それが、ファストファッション。ハサンは、「ファストファッションは、流行の服を quick(速く)、cheap(安く)、そして disposable(使い捨て)にする」と話す。

まるでトイレットペーパーを身に纏って、アリアナ・グランデみたいに見えるようにすることだよ。・・・みたいに、ね。

↑ハサンの皮肉ジョーク その1

そしてどうして私たちがファストファッションが操る消費主義に走ってしまうかについて、このように分析する。

私たちは、高級ブランドの価格を払わずとも、高級に感じたいんだよね。高級「っぽく」見えたいんだよ。

ファストファッションブランドが、従来のブランドと比較していかに急成長しているかを表すグラフを見せながらこう言い放つ。

もはやファストファッションはファッション界を支配しているんだ!

例えばザラの創始者は700億ドルの資産を持ち、世界で7番目に裕福になっていると語る。

関連記事: COOKIEHEADがファスト ファッションをやめた理由 : 序章

ザラはファストファッションのビジネスモデルを切り開き確立した第一人者なんだよね。そこにはポイントが2つある。

1つ目は、通常ならば1年半以上、大体2年ほどかけて従来のブランドが服を作ってきたのに対して、ファストファッションはめちゃくちゃ短期間で流行の服を市場に放っちゃうんだよ。その手法の一つとして、デザインは自分たちで行わず、他のブランドをマネっこしてね。

だって、knockoff(コピー、マネっこ)って、結局のところ合法なんだもん。

そうなんです。ロゴが商標登録されている場合それをコピーすると違法だけれど、デザインは法的に保護されていない場合がほとんどなのです。

関連記事: COOKIEHEADがファスト ファッションをやめた理由 その2: デザイン

そして2つ目のポイントは、とにかく毎日何でもいいから売りまくれっていうスタイル。

これは消費者である私たちも、ファストファッションのお店に行ったことがあったら気づくことだよね。お店には常に最新のものが溢れていて、回転も速い。

伝統的にファッション業界は春夏と秋冬として(加えてリゾートやホリデーなどの中間のコレクションもあるけれど)、通常は年に2シーズンで展開する。それに対して、ファストファッションは年間52シーズンあるという考え方だと言う。つまりは毎週、新しい商品が入荷される。

え・・・52シーズン?それ、年間にある週の数だよ・・・ね?毎週新しいものなんていらないよ!

毎週何かを発信するビジネスなんて、他に存在しないよ!!! ・・・(ネットフリックス のジングルが流れスクリーンにロゴが表れる)・・・あ。

↑ハサンの皮肉ジョーク その2

ファストファッションは確かにスタイリッシュで安い。そしてさ、ぶっちゃけそれを更に当たり前にしたのは、ソーシャルメディアなんだよね。インスタでかっこよくなくちゃいけないし、それは先週とは違わないといけないみたいになってるじゃん。

更にこわいのは、それによって従来のブランドもファストファッションのスピードについていかなきゃみたいになってること。

関連記事: COOKIEHEADがファスト ファッションをやめた理由 その3: 物質主義

そこから彼は、ファストファッションが抱える大きな闇の一つである、劣悪な労働条件・環境に触れる。

ファストファッションの服を手にとってさ、こう思うんだよ。まるでビリー・アイリッシュ(10代で今年のグラミー賞を主要4部門を受賞した歌手)の音楽を聴いた時みたいに。

まじか、子供が作ったとは信じられないなぁ。

↑ハサンの皮肉ジョーク その3

でもってさ、多くの人が実際にこういった服が地球環境に与えている影響を知らないんだよ。2015年、テキスタイル業界は、空中と海上の全ての輸送が発生したものを合わせたのより更に多い温室効果ガスを発生したんだよ。

これってつまり、自分が旅行した時、スーツケースに入れた服の方がそれを飛ばした飛行機より環境に悪い、ってことになるよね。

彼は、衣料に使われる素材の製造について詳しく説いていく。コットンは水を大量に必要とし、そして石油からできる化学繊維は大量の石油資源を使い更に環境に悪い。そして木が原料である自然資源でありつつも製造において多くの無駄を出すヴィスコースの問題にも触れている。

染色における水質汚染においても、インドネシアの映像を混えて解説する。

関連記事: COOKIEHEADがファスト ファッションをやめた理由 その1: サステナビリティ

とまぁこれまで服を「作る」ことについて話してきたけど、実はそれを「処分する」方の話はもっとヤバいんだよ。

平均的なアメリカ人は、年間に80パウンド(約36キロ)の服を捨てると言われてるんだって。

この山ね!なんで人は、2006年からある目薬はとってあったりするのに、服はじゃんじゃん捨てるんだろうね。

↑ハサンの皮肉ジョーク その4

とはいえ、こう思ってる人いるでしょ?「何言ってるの、私は着なくなったものはちゃんと寄付してる!私はコンマリとマザーテレサが一緒になったような存在だもの。」

↑ハサンの皮肉ジョーク その5

ところが、それにも実は大きな問題があることをハサンは指摘する。

人々が慈善団体に寄付する必要なくなった大量の服は、それを販売する店で一定期間を過ぎても売れなかったら結局アフリカに送られるんだよ。そこでも使い物にならないどうしようもない服は、焼却される。

衣料の87%は、最終的に埋め立てに送られるか、焼却されているのが現実なんだ。

そしてここで彼は、視点を少し変えてくる。

もちろん企業も、これは問題だってわかっている。消費者も、ヤバいなこれ、ってなるよね。環境のこと気にするよね。そうすると、「私たちはわかってますよー」って企業が発するメッセージを目にするようになるんだ。

そしてここで、ザラのサステナビリティに関するコマーシャルを流す。モデルがリサイクル素材で作られた服を着て、動物と自然があふれる農場のような場所でのびのびと過ごし、”reducing, reusing, and recycling to keep up with the fugure for tomorrow” (未来のために、減らす・再利用する・リサイクル)と笑顔で話す。

これをハサンは一刀両断。

明らかにザラはパニクってるよね。きっと本社でさ、「ヤバいです。どうしましょう!」「わっかんないけどとにかくモデルを農場でトラクターに乗せてみろ」「白鳥とかどうでしょう?」「いいねいいね。あとアヒルも連れてこい」みたいな感じだったんだろうね。

どこのブランドの何なのか全然しっくりこない、適当な広告だよね。

H&M も、似たことやってるんだよ。あ、でもこっちはアヒル抜きでね。

↑ハサンの皮肉ジョーク その6

流れるのは、擬人化されたカーゴパンツが H&M が衣料回収するプログラムについて話すコマーシャル。

これもハサンはバサッと切る。

(話すカーゴパンツの声色をマネながら)ノーーーー!結局燃やされるんだよー。モザンビークでねー!

↑ハサンの皮肉ジョーク その7

これがまさしく、企業が本来の姿より自分たちは環境に優しいかのようにマーケティングする、グリーンウォッシングの代表例なんだ」と話す。

更に具体的な例として、彼はザラの2018年の年次報告書に触れる。400ページを超えるこの報告書の冒頭には、「我々はこんなサステナビリティに関する取り組みをしています」と書いてあるが、この400ページを読み進めながら断片的に散りばめられた情報を集めると、結局冒頭の宣言は達成されていないことがわかる。

報告書の奥深くに真実が隠されていて、表面的な宣言は信用がならないことを指摘し、ザラのグリーンウォッシングを説明してくれる。

続いては H&M のグリーンウォッシングをあばく。

先ほどの衣料回収プログラムの話。H&M は店舗に回収ボックスを置き、実際に持ち込み衣料を回収している。いい感じに見えるよね?

でも結局のところ、回収された服の90%は埋め立てにいくか焼却されているんだよ。

し・か・も!そうやって環境によさそうに見えることをやりつつ、衣料を持ってきた人には15%のディスカウントを与えている。結局、またゴミになる服をもっと買えって話。

これには私も、本当に激しく同意する。本末転倒じゃない!?パーソンズでファッションビジネスを専攻し、端くれにもファッションのプロダクションについてもそれなりには勉強してきたので、わかる。ファストファッションの服は、劣悪過ぎてリサイクルできるものなどほとんどない。そもそも原料が低品質過ぎて、処理が難しい。化学繊維の混紡が多いのもリサイクルにはネックになる。そしてファッション業界で働いてきた身として、ファストファッションブランドは、これらの難解なプロセスを踏むより、回収衣料は埋め立てに送るか焼却しまた安価な服を一から作る方を選ぶのが安易に想像がつく。

加えてハサンは、グリーンウォッシングのもう一つの例として、ファストファッションブランドが近年次々と発表する「サステイナブルコレクション」について話す。

green, edo-friendly, ethical, responsibly-made・・・こうゆう無意味でまやかし的な言葉を使うんだよ。これらの言葉にはしっかりとした定義がないのをいいことにね。

実際に、ファストファッションブランドが「エコ」と謳う商品の嘘についても紐解いていく。全体のほんの一部でしかない部分を「エコ」と強調し、その商品全体が「エコであるかのよう」に見せかけている例には、正直私も呆れてしまう。

でもさ、わからないとわからないよね。わからないと、いいな、って思っちゃうよね。私にとってファッションは専門なのでなんとなく判断基準があるけれど、他の分野となったらわからないもん。サステナビリティそのものの基準が現状曖昧な分、グリーンウォッシングも曖昧になる。個人の判断基準にもよるけど、グリーンウォッシングってこわい

関連記事: サステイナブル・ライフスタイルを目指す上で気にかけている5つのこと

ここからはかなりコメディ感満載の、嘘を感じるファストファッションのアイテムを集めた架空のポップアップストアを作り、そこで様々なグリーンウォッシングを紹介していくので、番組を観てね。

そしてその映像が終わった後、ハサンはこんなジョークで笑わせてくれる。

あのポップアップの後、全ての商品はリサイクルしましたよ。我々の年次報告書を読んでください。

↑ハサンの皮肉ジョーク その8

そしてこのエピソードを締めくくるのはこんなメッセージ。

あなたたちがどう思っているかはわかるよ。

「ちょっとハサン、もう勘弁してよ。肉を食べるな、シャワーは短くしろ、ストローを使うな・・・あれこれ環境のために気をつけなくちゃいけない上に、今度はファッションも我慢しろって言うの!?」

違うんだよ。ファッションは楽しんでいい。ただ、長く着ようって話

衣料をたった9ヶ月長く着るだけで、二酸化炭素の排出を30%抑えることができるという解説が入る。そしてたった1点でもいいから、新品の代わりに中古を買うことで、50万台の車が1年間に排出するのに相当する二酸化炭素の排出を抑えられるとも。

意外と簡単に、自分たちでできることだよね。今までより服を長く着ること、そして古着を選択肢に入れること。私たちにも大きな改善ができることなんだよ。


すごくわかりやすく、アメリカのミレニアル感満載なネタやジョークを織り込みながら軽快に進められるのがおもしろい。その上、大事なポイントはしっかり入ってくる。

この記事で書いてあることはこのエピソードからの情報だけど、一部に過ぎません。もっと詳しく知りたい方は是非是非、時間がある時に観てみて欲しい。ハサンの話を聞くと、ぐっと説得される部分があると思う。

もしファストファッションの裏側について、ハサンとは真逆でだらだらとした(苦笑)読み物がご希望だったら、私の連載「COOKIEHEAD がファストファッションをやめた理由」も読んでみてね。2017年に書いたので情報は多少古いけれど、ハサンが話しているようなポイントに触れています。

製造、マーケティング、処分、いかなる部分においても、ファストファッションにはサステナビリティを確立するのが困難な部分が依然多いのを痛感する。私は消費者として、完璧にサステイナブルにファッションを楽しんでいるとは到底言えないけれど、やはりファストファッションにお金を投じたいとは思えないな。みなさまは、どうですか?

Scroll to top