THE LITTLE WHIM

誰かが作った世界でヘルシーな現実逃避を・・・おうち時間にオススメの映画やドラマ8選

マーク・トウェインが言った言葉:

Truth is stranger than fiction, but it is because fiction is obliged to stick to possibilities; Truth isn’t.

真実はフィクションより奇なり – なぜなら、フィクションは可能性があって成り立つものだが、真実はそうではないからだ。

THE LITTLE WHIM 訳

私たちが今直面している真実は、確かにフィクションより奇である。もしかしたら、ちょっと奇が過ぎるかもしれない。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染が世界的に広がりを見せ始めた頃、ウイルスや感染症をテーマにした映画やTVシリーズを観賞し議論する人が多かった時期がある。

しかし我々は確実にそのステージを過ぎた。誰かが企画・製作した枠の中でパンデミックを客観的に観る必要はない。・・・むしろ、「それはもう現実で見ているので、それ以外の世界をください」な感じじゃないかな。真実がフィクションを軽々と超えてしまった。

誰かが作ってくれた世界ならではの、マーク・トウェインの言う可能性が溢れているフィクションの中に、あえて飛び込みたい。今日は、そんな気持ちでヘルシーに現実逃避ができる映画やドラマを取り上げる。

ピックアップしたのは、映画やドラマの世界にまるで入り込み、ワクワク・ソワソワ・ドキドキ・ハラハラ・ふむふむ・しんみり、etc. を楽しめると私が思う「ヘルシーな現実逃避をさせてくれる娯楽」である8つの作品。厳密にはフィクションではなく実話がベースになったものも含むけれど、あくまでここではないどこかの世界に連れて行ってくれるもの。4つのカテゴリーに分けました。

※ Netflix等のネット配信に関する情報は、2020年4月現在のアメリカのものです。

時間ならいっぱいある!
長編ドラマシリーズ
Better Call Saul

邦題: ベター・コール・ソウル
ジャンル: 犯罪ドラマ
ネット配信: Netflix シーズン4まで配信中: シーズン6で完結の予定
製作年: 2015年 –

アメリカのTVドラマ史上に残る名作と言われている “Breaking Bad”(邦題: 「ブレイキング・バッド」)のスピンオフ作品。なので観ていない方はまずそちらを観ることを絶対オススメします。※余命宣告されたアメリカ南部の地味だけど実は天才な高校化学教師が、家族への遺産を残すため麻薬を作り始め巨万の富を築いていくんだけども・・・というこの点点点の部分がぶっ飛んでいるドラマ

“Better Call Saul” は、”Breaking Bad” に登場する弁護士のソウル・グッドマンを主人公にしている。はちゃめちゃで薄情なお調子者に見えて、でもずる賢さと真の賢さは紙一重なのかな、なんて感じさせるクセありまくりなキャラクターであるソウルの、”Breaking Bad” より6年前の時代を描く。何がどうなって彼独自の弁護士スタイルにたどり着いたかが描かれている。

他にも “Breaking Bad” に登場するキャラクターが複数出てきて、伏線になっているエピソードも多い。本名はジム・マックギルなのに、なぜソウル・グッドマンと名乗っているかも明らかになる!

犯罪ドラマのカテゴリーではあるけれど、ブラックユーモアもたっぷりで終始キレッキレ。

The Office

邦題: ザ・オフィス
ジャンル: モキュメンタリー/コメディ
ネット配信: Netflix 全9シーズン
製作年: 2005年 – 2013年

こちらは激ユルのコメディ。元はイギリスで製作されたドラマのアメリカリメイク版。モキュメンタリー(ドキュメンタリー風フィクション)というスタイルで、登場人物が取材に応えている形式の撮り方が特徴的。1エピソード20分程度と短いながら、9シーズンあるのでお腹いっぱい。

アメリカ地方都市の紙製品を扱う企業の営業所が舞台。え、アウトじゃないの?いや、アウトでしょ?という不適切な発言・行動を連発する営業所長と、その部下たちが繰り広げる日々の人間模様がコミカルに描かれている。それぞれのキャラクター設定が究極にシンプルでわかりやすい分、このドラマのユニークさが際立つ。

時代的に一つ前(2005-2013年)なのもあり、正直いって境界線超えちゃってるでしょ的な部分は結構ある。言っちゃ/やっちゃいけないことを、言っちゃってる/やっちゃってる。。。

(企業や業界にもよるけれど)セーフかアウトかギリギリの際どい言動に出くわすことは、働く中で珍しいことではないだろう。もしくは自分がしてしまう危険性を感じることもある。そのギリギリのところに多くの人は日々ヒヤヒヤしている中、The Office の世界ではギリギリを超えてくる。だめだろそれー!の連続なんだけど、人権・人種・性別・ジェンダー・性愛など多様性に敏感なアメリカ社会でもついこないだまでこれが大人気ドラマとして放映されていたのか、と驚く。

そう考えるとみんなが大好きなフレンズもそうだよね。1990年代から2000年代にかけての風潮が多く見られる。女性像・男性像はかなりステレオタイプで描かれているし、同性愛を受け入れないジョークは多く、主要キャラクターは白人がほぼ占めているし、ベジタリアンは変わり者さを強調する要素になっている。それでも、ミレニアルの若い世代やジェネレーションZにさえ今でも人気のドラマ。

あくまで、アウトな部分をアウトだと理解し、過去のアメリカ一般社会ではギリギリセーフだったのかなぁという機転を効かせながら観ると、単純にコメディとして楽しめるドラマ。

営業所メンバーの一人を演じるジョン・クラジンスキーによるYouTubeチャンネル、Some Good News は、世界中が COVID-19 と闘っている中、明るいニュースをフィーチャーするハートウォーミングなエピソードを展開しているのでこちらもオススメ。

ぶっ飛んでるけど本当の世界…
実話もの映画
The Disaster Artist

邦題: ディザスター・アーティスト
ジャンル: 伝記的コメディ
ネット配信: Amazon Prime(primeメンバーは無料)
製作年: 2017年

解説を放棄したくなるほど、変な映画。終始わけわからないのに底抜けにおもしろくて、どこか気味悪いのになぜか観終わった後は爽快感すら感じる。

一応解説すると・・・元になっているのは、”The Room” という伝説的超駄作と名高い映画と、それを作ったトミー・ウィソーという人物。彼は無名ながら、出どころ不明の膨大な製作費6億円をかけて映画を自主制作する。自らが監督・脚本・主演するこの映画は、内容が支離滅裂な上に、彼の演技は観るに耐えないほどの大根。製作チームとのコミュニケーションも空回りの連続。当然ながら興行的には大失敗に終わるのだが、そのすざましい駄作ぶりからカルト的人気映画となっているそう。

その製作秘話を描いたのがこの映画で、監督・主演はジェームス・フランコ。ちなみに “The Room” を観ていなくても十分楽しめます。究極のこわいもの観たさとして気になってくるとは思うけど。

I, Tonya

邦題: アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル
ジャンル: 伝記的ドラマ
ネット配信: hulu | Amazon Prime (有料)
製作年: 2017年

こちらは打って変わって、終始緊張感がある。目に見えそうなほどのピリピリ感。

1990年代アメリカ、女子フィギュアスケート界の実話に基づいている。大人気俳優のマーゴ・ロビー演じる、アメリカ中で嫌われてしまったトーニャ・ハーディングを巡る話。

彼女はアメリカ人女性として初めてトリプルアクセルを決めたことで注目を集める。そしてライバルであったナンシー・ケリガンが襲われ膝に怪我を負ったことにより、トーニャはオリンピック出場権を手にする。・・・しかし、その傷害事件の容疑者としてトーニャの元夫とその友人が逮捕されることで、一大スキャンダルとなる。

参考記事: ナンシー・ケリガン襲撃事件(時事通信)

刑事事件として世間から注目される中、問題児の嫌われ者として世間から見られバッシングを受けるトーニャと、実力者として例外的にオリンピック出場権を与えられた悲劇のヒロインのナンシー。更には、映画全体を通して、トーニャと母親の確執、トーニャと元夫の歪んだ関係、トーニャのプレッシャーとストレスが、怒涛のように途切れることなく織り込まれている。最終的に彼女の手に残るのは何?

スポーツに打ち込んできたわけではない私でも、彼女のように一つのことに小さい頃から取り組んできた人の、人生をかけた凄まじい闘いと意地と嫉妬を感じた。マーゴ・ロビーもさることながら、母親役のアリソン・ジャネイがしゅごい。。。

こんな時こそ、ディズニーを少し…
CGI映画
Zootopia

邦題: ズートピア
ジャンル: アニメーション/コメディ
ネット配信: Disney +
製作年: 2016年

特にお子様がいたら観たことがある方も多いと思うこちらは、大人も楽しめる。

ズートピアでは、動物たちが種を超えて共存し、都市国家としての理想的な社会(ユートピア)を形成している。

一つの娯楽作品としてもちろん楽しめるが、この映画はディズニー映画の中でもかなり先に進んだ何かを提示している。例えば主人公は女性のうさぎで正義感が強い警察官。しかしフローズンなどの近年のプリンセスシリーズで見せてきた「強い女性像」とはまた違う、「強い市民」がたまたま女性だったという設定なところに意義を感じる。

民主主義や、他を受け入れ多様性溢れる社会での共生する生き方、社会における問題への立ち向かい方など、丁寧に描かれている。ズートピアの住民に置き換えて観察することで、現代社会の多様性における矛盾や表面的な薄っぺらさに目が覚める。問題のシンプルな部分とものすごく複雑な部分を噛み砕くこともできる。先入観が生み出す偏った考え方を排除する手助けもしてくれる。

もちろんこれは多様性の理解を深めるための教科書ではない。ただ少なくとも、私たちが気づくべきことに改めて気づかせてくれる映画ではある。

Wreck-It Ralph

邦題: シュガー・ラッシュ
ジャンル: アニメーション/コメディ
ネット配信: Disney +
製作年: 2012年

私はディズニーのCGI作品の中で、この映画が一番好き。泣いちゃう。

ゲームアーケード(ゲームセンター的な)のゲーム機内のキャラクター同士の人間模様や成長を描くストーリー。お直し大工さんがメインのゲーム内で、破壊する役割の悪者キャラクターであるラルフが主人公。彼は本当は心優しくみんなと仲良くしたいのに、ゲームでのキャラクター設定的になかなか受け入れてもらえない。ラルフは、レーシングゲーム内で問題があり仲間から孤立してしまっているヴェネロピと出会い、他のゲームに侵入したりしながら冒険を続け、ラルフとヴェネロピそれぞれ「自分探し」をしていく。

ラルフとヴェネロピの友情に、いつもぐっと熱い涙が出てきてしまう。ゲーム好きな人は、より楽しめる要素が所々に散りばめられているよ。

最後はやぱり、愛なのか!?
ロマンス系映画
Call Me by Your Name

邦題: 君の名前で僕を呼んで
ジャンル: 青春ロマンス
ネット配信: Amazon Prime(有料)
製作年: 2017年

私が近年観た恋愛の映画の中で、最も切なかった作品。初めて観たのは、忘れもしない、パリ出張からの帰りの便で。小さい画面上で広がる世界に、独りだったにも関わらず、声を押し殺しながら号泣した。

舞台は1980年代。ティモシー・シャラメ演じるティーンエイジャーの主人公エリオは、父の別荘のある北イタリアで夏を過ごす。そのエリオの、学者の父のアシスタントとして休暇の間一緒に暮らすことになった学生のオリヴァーとの、恋の話。

暑い北イタリアの熱い太陽、鮮やかな夏の町並み、匂いが伝わってきそうなフルーツ、乾いた音を出す鳥や風。一つ一つのシーンのリアルさが、恋をすることで生まれる胸がつまる感覚をより苦しくする。センチメンタルで純粋で真っ直ぐ。

同性愛の映画という固定目線で観る作品ではない。人を好きになることで知る幸せや悲しさを映画にした、思春期の恋の物語だ。

坂本龍一やSufjan Stevens が参加しているサウンド・トラックも素晴らしい。

her

邦題: her/世界でひとつの彼女
ジャンル: SFロマンス
ネット配信: Netflix
製作年: 2013年

2013年が見た未来の、人間とAIの恋愛の形。でもこの映画は、ただそれだけの話じゃない。

ホアキン・フィニックスが演じる、近未来のLAに住む主人公セオドアは、恋愛における自己のコントロールがどうもできない。過去の恋人や妻との関係にとらわれている。あきらめかけていた中、AIのサマンサ(声はスカーレット・ジョハンソン)と出会い、恋人関係を築いていく。

当時この映画を観た時はまだ一般市民の生活におけるAIは今ほど浸透していなかった。Siriとか使っていたっけかな?くらいな感じ。なのでセオドアとサマンサの恋愛は非現実的だった。しかし今は、AIのコミュニケーションはかなり発達し、人間とAIの恋愛は現実味を大いに帯びている。これがメインストリームになる日も、来るのか。

そんな中、だ。COVID-19 の影響で隔離生活が求められる今、人間と人間が「会う」ことの考え方が変わりつつある。実際に、大事な人に会うことができない人たちもたくさんいることだろう。この映画が作られた2013年に比べAIが発達したのと同時に、人間同士の従来の関係性にも変化が起きている。不思議なものだ。

そんなことを考えながら、この映画を久しぶりに観返してみた。そして思い出したのは、この映画の伝えたいことは、生身の人間かAIか、そんな選択肢の話ではなかった。セオドアの過去の恋愛、そしてサマンサとの関係を通して伝わってくるメッセージは・・・。こんな今だからこそ見つめ直したい、自分と自分の周りとの繋がり方や関わり方を考えさせてくれる。孤独のつらさ、自分の弱さを認める勇気、誰かとわかり合うことの喜び・・・そういったものが、スパイク・ジョーンズの、美しい中に影を潜む映像の中で描写されている。

ちなみにヴィーガンでアニマル・ライツ・アクティビストのカップルであるホアキン・フィニックスとルーニー・マーラーは、この映画の撮影で出会ったと言われているよ。


自宅で過ごしながらも、ここではないどこかの世界に行ける現代。ありがたいことだ。

今回紹介した作品は全て英語のもの。もし現実逃避しながらも英語を学ぶチャンスとして活かしたい方は、ぜひ字幕なしにも挑戦してね。

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