THE LITTLE WHIM

夫が自ら考え工夫・実行している、彼なりのサステナブルなこと

我が家の仕組み – 経済の柱は、夫。財政管理は、だいたいの判断は夫婦で、細かい決定は妻である私。

このシステムのもと、二人で共有する要素が強いことは話し合って決定する(私の発言の優先度高めだけれど… )。環境・倫理を意識しながら家庭として考えたいことは、意見を交換し合いながら決めてきた。例えば大きなものだと、プラントベースの食事、エネルギー、猫の育て方、家電や家具の購入などがそう。そのほかにも、ローウェイストやコンポスティングには、夫婦で手を替え品を替え改善を加えながら取り組んでいる。

一方、自分自身に関わる分野においては、あまり口出しし合わない。それぞれの仕事、趣味、自分のための購入などにおいては、時に相談はすれど、決めるのは各自身といった感じ。

その中で最近気づくのが、夫が自ら考え、工夫・実行している彼なりのサステナブルな選択。特にそれらには、私は知識や考えが疎い分野もあるので、見ていておもしろい。サステナブル、エシカル、サーキュラー(循環型)というと私の方が口うるさいので意見は求められたけれど、私から押し付けたものでは決してなく、あくまで自発的。

THE LITTLE WHIM のコンセプトである「好きなものは好き」と「循環の中に暮らす」を、最も身近な存在である夫が可能な限り形にしようとしているようで、すごく嬉しい。ということで、私の夫ならではのサステナブルなことを3つ、シェアします。いつもの THE LITTLE WHIM ではあまり登場しない題材ながら、もしご家族や周りの友人で同じようなものをよく利用したり関心が強い方がいたら、一緒に考えるきっかけになると嬉しいです。

クラフトビール

夫はビールが、その中でもいわゆるクラフトビールが大好き。日本を含めた旅行先でも、地域のブルワリー(醸造所)を訪ねたりその土地のクラフトビールを楽しむ。

ニューヨークには地元型の小さな独立系ブルワリーがたくさんある。さらに最近は、スーパーマーケットでもさまざまな地方の小さなブルワリーのクラフトビールがかなり増えた。

定期的に買う飲料というとビールくらいな我が家。サステナブルにしたい… 彼がそれを意識し考えていた時に、実は私はあるポッドキャストを紹介した(あれ、結局妻が促したんかな感はあり…)。以前の記事「COOKIEHEAD オススメのポッドキャストいろいろ」にも登場した “Sustainability Defined” というチャンネルの “Episode 16: Sustainable Beer with Katie Wallace (New Belgium Brewing Company)” のエピソードを聴いて、いろいろ調べたみたい。

クラフトビールを作っているブルワリーの多くは、基本的には巨大企業ではなく、ゆえに独自の運営をしている場合が多い。それを踏まえた上で、Sustainability Defined の考察では、サステナブルにクラフトビールを楽しむためにまず気にかけたい大きなことは、地域に基づくビジネスとグリーンエネルギー。加えて、ブルワリーによっては原材料の再利用、有効的なリサイクル運営、意義のある植林などの環境保全活動、人やコミュニティへの還元などを行っているところも注目したい。

ポッドキャストの中で出てくるサステナブルなブルワリーランキング は参考になる(2013年のもので少し古いので、こちらも)。1位の New Belgium Brewing はコロラドの会社で、グリーンエネルギーを施設内で作り出す取り組みを進めており、水利用や温室効果ガス排出の削減に積極的で、その実績とあとはゼロウェイスト指標などを公開している。Bコーポレーション認定も受けている。3位にランクインしている私たちの家から徒歩10分ほどの Brooklyn Brewery も、エネルギー利用削減のためのシステム作りや、植林活動、有効的なリサイクルを率先するグリーンチームを設けているよう。この2つのほかにも、夫がもともと購入することがあったアメリカ各地の独立系ブルワリーには、サステナビリティを企業理念のコアの一つに置いている会社がいくつもあることがわかった。

その他参考資料:
A Toast to The B-Corp Breweries Who Put Employees, Environment, and Community On Par With Profits” (Eco-Friendly Beer Beer Drinker)
How Beer Brewers are Embracing Sustainability” (Seven Fifty Daily)
Are the Bubbles in Your Beer Made from Sustainable CO2?” (GreenBiz)

そういった話やそのほかにも環境や倫理を考えた結果、夫はここのところずっと、ローカルなブルワリーに容器(ビンやグラウラー)を持ち込み、はかり売りで購入するか、納得のいくサステナブルでエシカルなコンセプト・実績を持っているブルワリーのものをビンで購入(その際はもちろんビンはリサイクル)することにしている。

写真のビンは、「HARRY のブルワリー・ジャーナル VOL. 1 – GRIMM ARTISANAL ALES」で取り上げたブルックリンのブシュウィックにあるブルワリーのもの。16oz(500ml 弱)のガラス製。何度も栓ができるので、長めの散歩がてら歩いて行っては入れてもらい、飲み終わったら洗って繰り返し使っている。もう一つ、32oz(約950ml)のガラス製グラウラーも持っている。ローカルではかり売りで買うのは、地域ビジネス支援になるとともに、輸送の環境負荷を避けゴミも出ない。そして、作り手が近い上に、フレッシュな生ビールを楽しむことができる。

今年のクリスマスには、Klean Kanteen の32oz の魔法瓶タイプのグラウラーを贈ろうかな、と考え中。割れないので長く使えそうだし、近所だけでなく旅先にも持って行ってローカルなブルワリーからゼロウェイストでビールを買いやすくなったら、楽しいんじゃないかなって。

ローカルに買えば正解というわけでも、サステナブルブルワリーから選べば必ずしも完璧、というわけでもない。でも彼はそこまで理解した上で、自分が飲みたいビールの中でその時に最も配慮ができる方法を選んでいるようだ。

レコード

もう一つ彼が大好きなのは、音楽を聴くこと。レコードはかなりの枚数を所有している。ターンテーブルで毎晩、その時の気分の音楽を再生している。

一方で仕事中は、レコードを頻繁にひっくり返すと集中できないので、Spotify でストリーミングを利用する。しかし昨年、夫婦ともに音楽ストリーミングに関するある情報にショックを受けた。

参考記事: Is Streaming Music Dangerous to the Environment? One Researcher Is Sounding the Alarm (Rolling Stone)

グラスゴー大学の Matt Brennan が2019年に行ったリサーチによると、音楽再生メディア(CDやレコードなど)に使われるプラスチック利用は、2000年代には6,100万トンだったのから、2016年には800万トンまで落ちた。しかし音楽がダウンロードやストリーミングなどデジタルで聴かれるようになり、排出される二酸化炭素ガスは2000年代の1億5,700万トン相当から増え、現在は2億5,000万〜3億トンに及ぶらしい。

つまり、デジタル化によってプラスチック利用は減ったけれど、温室効果ガスは増加している。Eウェイストと言われる電子廃棄物のように目に見える環境問題ではない、見えないゆえにとてもやっかいなやつだ。そしてこれは音楽に限った話ではない。映像のストリーミングはもっと多く温室効果ガスを排出する。ビデオやDVDを観ていた頃よりローマテリアルによる環境負荷は減ったけれど、温室効果ガスは増えている。

我が家で利用する音楽ストリーミングサービスとして、Spotify の2018年2019年のサステナビリティレポートを見てみた。エネルギー調達に問題のあるデータセンターの閉鎖は宣言通りに実行しているよう。2019年のレポート時点では、カーボン対策を掲げる Google Cloud Platform のデータセンターにすべて切り替えたと書かれている。

GCP は、再生エネルギーのグリッドを使っているという部分と、(化石燃料などを使っているけれど)再生エネルギーへの投資をしているという部分で、カーボンニュートラルと謳われている(と私は解釈したけれど、間違っていたらおしえてください)。そのほかの音楽ストリーミングサービスについても、同様に巨大テック企業のデータセンターやクラウドを利用しており、そこの温室効果ガスへの取り組みに準ずる形になるようだ。

各社、20xx年までに完全にカーボンフリー化とか100%再生エネルギー化とか、いろいろ書かれている。グリーンエネルギーへのシフトは、間違いなく起きているよう。

… そうは言っても、負荷は何らかの形で生まれている、というのが夫の印象。再生エネルギー関連のプロジェクトに携わっていたこともある彼は、やはりデータのストリーミングによって利用される膨大なエネルギーのとてつもない規模と、それを完全に「再生エネ化」や「カーボンフリー」にするという各社の宣言の行間にある何かを感じたみたい。

しかし現実的に考えて、さよならストリーミング!、は現状難しい。ポッドキャストや Netflix のドキュメンタリーからは学びや新しい着眼点を得ることが多い。そして、彼なりに思ったらしい、趣味である音楽鑑賞の部分での利用は減らしたい、と。データのストリーミングではなく音楽再生メディアから音楽を聴くことで温室効果ガスを減らすことを、そのメディアを作ることで生まれる環境負荷を抑えながら楽しむ方法を考えた。そして、今までもしてきたことだけれど、ローカルなヴィンテージレコード屋さんで中古レコードを買うことを最優先することにした。

とはいえ、ジレンマもあるよう。中古でのみ購入するとなると、地域のヴィンテージレコードビジネスやコミュニティに貢献できるけれど、アーティストに還元されにくい。プラスチックを使ったメディアや温室効果ガスを排出するプラットフォームは、必ずしもアーティスト達の責任ではなく、音楽業界が持つ課題であるわけだから、そこは配慮した上で柔軟に中古以外の選択もして、作り手であるアーティストを支援することも念頭に入れておきたいと言っていた。

メンズ・パーソナルケア

我が家はヘアケアやスキンケア、ボディケアはほぼ共有。私が選んで使用しているものを彼も一緒に使っている状況、というのが正しいかな。

しかしパーソナルケアにおいて、夫しか使わないものは、彼が自分で選ぶ。とはいえ、ひげ剃り関連とデオドラント(共有しない)くらいだけれど。

その中で彼が配慮しているのは、これは私と同じくでヴィーガン & クルエルティフリーという大前提。いわゆる男性用のマーケットでも、この考え方は存在している。

私がヴィーガンライフスタイルを意識するきっかけとなったのは化粧品の動物実験であることを、近くにいる彼は最もよく知っている。私の話に散々付き合ってきてくれた経緯がある。今ではほぼプラントベースの食生活を送りながらも、チーズが恋しく感じることはある彼だけれど、パーソナルケアにおける動物の犠牲に関しては、どう考えても不要!No! と感じるみたい(私の影響が、ここにもなくはない… けれど決めたのは彼)。

以下のリストは、夫が使ったことがあるクルエルティフリーの男性用パーソナルケアブランド(ヴィーガン情報も併記)。私たちが住むアメリカで買えるもの中心ではあるのだけれど、取り扱い場所が多く買いやすいものをピックアップ。

BULLDOG

公式サイト
Cruelty Free International 認定クルエルティフリー
全商品ヴィーガン

ロンドン発。ゼロウェイストとまではいかないものの、パッケージの素材にサトウキビ由来を使うなどメンズブランドとして取り組みは進んでいる。親会社である Edgewell の環境や人・コミュニティに関するサステナビリティレポートはこちら

商品展開: シェービング、スキンケア、ボディケア
取り扱い: オンライン | Target | iHerb(日本に発送可能) | ドラッグストア

iHerb を利用する際、クーポンコード <OKI1915> で5%オフになります。(私にも特典が入ります。)

HARRY’S

公式サイト
Texturizing Putty を除きすべてヴィーガン

ニューヨーク発。剃刀などひげ剃り関連で知られるブランドで、その分野でのサブスクリプション型D2Cの先駆け的存在の一つ。最近はパーソナルケア全般を取り扱っている。

商品展開: シェービング、スキンケア、ボディケア、ヘアケア
取り扱い: オンライン | Target

EVERY MAN JACK

公式サイト
PETA認定クルエルティフリー
一部ラノリンなど動物性を含む商品もあるので注意
(ヴィーガン商品リストなし)

サンフランシスコ発。ひげ剃りをはじめ総合的に揃うパーソナルケアブランド。アルミニウム不配合のデオドラントやノンケミカルサンスクリーンなど、クリーンなアイテムが多い。

商品展開: シェービング、スキンケア、ボディケア、ヘアケア、デオドラント、サンスクリーン
取り扱い: オンライン | Whole Foods | Target | ドラッグストア

そして最近は、パーソナルケアのゼロウェイストについても意識し始めたよう。ひげ剃りについては私はよくわからないのだけど、デオドラントに関しては、彼が使っているスティックタイプは、プラスチックパッケージなのが気になるみたい。しかし、私が使っているガラスジャー入りで詰め替えができるゼロウェイストのクリームタイプを勧めたら、嫌がられた(!)。指で塗らなくてはいけないのが好きではなかったそう。

Native というブランドは、ヴィーガン & クルエルティフリーでアルミニウムフリーな上に、紙パッケージのスティックタイプを最近始めたそうなので、次はそれを試してみると言っていた。気に入るといいな。

夫婦別々に取り組むからこそ、増える視点

私が普段意識しないエリアでの、夫ならではのサステナビリティ。一緒に暮らしていても、全く違うところで環境や倫理を意識するべきことに気づく。新しい会話にも発展する。夫が彼なりに考え、工夫して、実行に移しているのを見るのはすごく嬉しいし、勇気をもらう。

そう、結局は自分なんだよね。自分のアイデンティティ、生活、趣味、必要なもの、そういったものがあった上で、向き合うこと。人にもよるけれど、受け売りや押し付けでは限界がある。

自分の目で見て、自分の頭で考えて、自分の心に問いかけて、そうやって取り組んでいくのが「真に持続可能な」持続可能性だと私は思うし、もっとその先の再生や終わらない循環につながる土台にもなっていくはず。

夫婦ともに、まだ満足や納得ができていない分野があるし、気づいてさえいないエリアもあると思う。少しでも私たちの未来の地球や社会に、希望が増えますように – こうやっていつもとは違う視点を持つことで、なおさらそう感じる。

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