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一緒に過ごして6年、夫から学んだこと

2013年9月9日、私がケネディ空港に降り立ったその日から、ニューヨーク出身の彼と東京出身の私はニューヨークで一緒に暮らしている。丸6年と少しが経った。

結婚は2015年。7月にシティホールで入籍し、10月にカトリック教会で式を挙げた。10月3日は私たちにとって結婚記念日なので、それを祝して(!?)この6年で夫から学んだことを書きたい。

(ノロケ入ります)彼はすごく頭がいいし優しくて思いやりがある。多くのことに関心を持って異なる意見にもオープンな上で、自分の意思をしっかり持っている。その彼から学んだことの数々に私は感謝しているし、今の人生においても重要なこととして残っている。

外国語で生きる上で大切なこと

いつの話かはっきりと覚えていないけれど、私がニューヨークに来て1年目のことだったと思う。確実に言えるのは、私はまだ今ほど英語で話すことに自信がなく緊張があった頃のこと。

ある日、彼側の姪っ子の1人と話していた。彼女はまだ6歳くらいだったんじゃないかな。

おしゃべりの中で私が言った何かの発音が悪かったので彼女は一旦止まり、「ああ、xx(正しい発音)のことね。yy(私の発音)じゃないよ。あなたの英語は変ね。」とコメントした。「あはは、そうだよね、わかりにくかったね。」と謝るわけでもない程度の反応をした私。彼女から悪気やいじわるさはまったく感じなかったけれど、周りに他の大人の家族もいたので、少しだけ恥ずかしかった。

近くで会話を聞いていた夫は、姪っ子に対して言葉をかけた。

わからなかったら聞き返せばいいだけで、そうやって誰かの言葉を正したり誰かの英語をジャッジする必要はないよ。

特にニューヨークには色んなバックグラウンドの人がいて、英語も色々なんだから。君のおじいちゃん(夫の父、ギリシャ系移民)だってそうだし、僕の彼女(私、日本人)もそう。君の身近にもこれだけ色んな人がいて、でもみんな英語を話している。発音が難しいことや文法を間違えることはいっぱいあるよ。


学校では正しい英語を勉強するけれど、外では結局は伝わればいいんだ。ネイティブ・スピーカーだって誤ることはあるし、でも間違いを指摘されるのは恥ずかしかったりプライドが傷つくこともある。言葉の正しさはコミュニケーションにおいて最も重要ではないんだよ。

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彼の言い方はとても優しく自然だったし、姪っ子も素直なので、「そっか、そうだね。」と彼の言葉を受け止めていた。特にいじけることも落ち込むこともなかった。

私も、彼が私の気持ちを汲んでくれたことが嬉しかったけれど、でも決して姪っ子を責めたり叱る言い方ではなかったことにも同時にありがたさを感じた。

彼のこの言葉は英語に自信のある今でも心の中に残っているし、ちょっとした間違いを直す人がもし今後現れたとしてもヘコむことはないと思う。

彼の言葉は私と姪っ子のどちらにも引け目を感じさせず、シンプルにレッスンをくれた。

私に与えてくれた生きがい

これもまだ私がニューヨークに来て1年目のこと。当時私はその後通うことになる Parsons へ出願しつつも悩んでいた時期で、CUNY(ニューヨーク市立大学)の語学コースで留学生として英語を学びながら将来のことを考えていた。

ある時、積りつもった不安が急激に限界になり、深刻なホームシックになった。「このままニューヨークにいても仕方がない」と、前向きさを失っていたのを覚えている。

彼に「東京に帰りたい」と話した。「私にはここでの生きがいが(あなたといること以外に)見つかっていない」と。彼は「まだ始まったばかり。結論を出すのは早いよ」と諭してくれた上で、猫の里親になることを提案してくれた。私は小さい頃から常に猫が近くにいたので、一緒に保護猫を引き取り世話をすることで私が生きがいを見つけられるのでは?と考えてくれたのだ。

そこから2人でいくつものシェルターを周り、何ヶ月もかけて自分たちに合う猫を探した。当時(推定)2歳で今年7歳になった Petticoat(ペチコート)は、今では私たち家族の大事な一員だ。アメリカでは動物の保護が日本よりシステム化されていて、動物の命の尊さについても学ぶことも多い。2人でシェルターが開催するレクチャーに通い、地元の保護団体のボランティアにも参加するようになった。

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彼に聞いたことがある。「もし私たちの関係がうまくいかなくなった場合、Petticoat はどうするつもりだったの?」と。すると彼は、「君が引き取りたかったらその手続きをしたし、そうでなかったら僕が世話を続けるつもりだったよ。二人で育てることを望んでいたけれど、そうならない場合も想定はしていた」と。

動物と暮らしたことがなかった彼にとっては大きな決断だったはず。それにも関わらず、私がニューヨークでの生活に少しでも生きがいを感じられるよう、動物を保護し責任を持たせてくれたことは、私に自信を与えてくれただけでなくかわいい愛猫との幸せな暮らしをももたらしてくれた。

私の新しい選択のサポート

時間は飛んで、今年に入ってからの話。私はヴィーガンになるという、人生において大きな決断をした。

私の周りはありがたいことにみな理解があって、難しいことを言う人はいない。東京の家族、ニューヨークの義家族、そしてどちらの都市の友人も、みな協力的で感謝してもし切れない。

その中でもやはり、毎日を一緒に過ごす夫の理解と協力をなくしては、私の決断の実行は難しかったと思う。彼は今、ヴィーガンではないけれど、おもに食生活においてそれにかなり近い選択をしている。人生をともにするパートナーと楽しく毎日を送るため、相手のチョイスを理解・尊重し一緒に楽しみながら新しいことに取り組む彼の姿勢は、究極の思いやりだとおしえてくれる。

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自宅では、料理が苦手な彼は私が作るプラントベース料理を食べる。元々お互い野菜が好きなので、それを更に楽しんでいる。肉や魚の代わりに豆腐や豆、ジャックフルーツやアーティチョークを使ったメニューも trial and error(試行錯誤)でゲーム感覚。失敗してもスパイスを足して激辛メニューにして食べちゃったり、美味しかった時はリピートして、プラントベースの食事を満喫している。

外食も、幸いニューヨークには100%ヴィーガンだったりヴィーガンオプションが豊富なレストランやカフェ、ベーカリーも多いので、週末にはそういったところに足を運んで2人で勝手にレーティングをして楽しむ。彼が同僚や友人から新しいお店の情報を得た時はすぐにシェアしてくれる。

彼は職場でランチミーティングが多いが、私がいないにも関わらずかなりの高い率でヴィーガンもしくはベジタリアンメニューを選択しているよう。そして美味しかった時には会社のケータリングチームにどこからオーダーしたのか聞いてくれて、「ここのランチ美味しかったから、今度行こう!」と会社からテキストをくれる。

私といる時に仕方なくヴィーガンの食事をしているわけではなく、彼も私の思うところに賛同してくれているのを感じる。夫婦として一緒に新しいライフスタイルを歩んでくれているのはすごく嬉しいこと。

それぞれの「好きなものは好き」を尊重

最後はファッションに関して。

私はファッションが好きだけれど、必ずしもトレンドやメインストリームを着たいわけではない。着るのには必ずしも勇気は出ないとはいえ、アバンギャルドとカテゴライズされるブランドに関心があり、ユニークなものを求めてヴィンテージを探すことも多く、好きなスタイルは何年も着ている。

そしてシルエット的には、タイトなものよりルースだったりオーバーサイズなものが多い。

一方夫はファッションにそこまで精通しているタイプではなく、自分自身だけでなく自分のパートナーのファッションに関しても、メインストリームなわかりやすいファッションが好きみたい。

つまりは、彼は私の着る服の多くを単純に「また変なの着てる」と内心感じている(のを私は知っている)。特にデートや特別なディナーなど、ここぞという時に私はとっておきのお気に入りを選ぶので、彼は「ますます変なの着てる」と思っている(のもバレている)。

でも夫は究極的には、私が日々好きな服を着て楽しんでいることを、そして私が大事な夜にはとっておきのお気に入りを選ぶことを喜んでくれる。私の「好きなものは好き」を大切にしてくれているのだ。

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なので私も時々、お礼の気持ちも込めて、彼が好きそうな服も選ぶことにしていて、それはそれで喜んでくれる。単純に言うといつもと違ってタイトだったりすると嬉しそう(笑)!「私の好き」には私の満足を感じてくれて、「彼の好き」には自分の満足を感じてくれるのだ。

雑誌などでは「モテ服」や「モテコーデ」といった普遍的な方程式が提案されているのをいまだに目にする。大事なのはそれぞれの「好きなものは好き」を尊重することで、それでお互い気分がいいのが一番理想的であることを、彼のファッションとの向き合い方は思い出させてくれる。


彼の言葉や行動、選択には、感謝していることがたくさんある。自分の至らないことにも気づかされ、学びが多い。

カップルや夫婦の形はそれぞれなので、何も私は自分の夫が誰にとっても理想的なベストな存在!と言っているわけではない。私にとって彼は最も理想的であるというだけのこと。常にそこにいてくれて安心できる究極の親友のような存在であり、そして自分の成長を助けてくれる。私は彼に何が返せているのかわからないけれど、少なくとも感謝を示すことだけは忘れないようにしたい。

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