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COOKIEHEADがファスト ファッションをやめた理由 その3: 物質主義

ファスト ファッションだけじゃない – もっと色々なファッションの楽しみ方がある。

シリーズ 「COOKIEHEADがファスト ファッションをやめた理由」

<注釈>
この連載は2017年に書かれたものであり、情報は古くなっている部分があります。また、ファストファッションに焦点を当てていますが、ファッションビジネス全体を多角的・多面的に見た際、他にも多くの問題があること、そしてそれがファストファッションをかえって助長してしまっていることも理解しています。

COOKIEHEADがファスト ファッションをやめた理由 最終章のテーマは物質主義。今までは業界やビジネス側からファスト ファッションに関わる問題を論じてきたが、最後はあわせて消費者側からも考えてみる。

ファッションの使い捨て文化

まずはこのインフォグラフィックを見て欲しい。

Courtesy of Alexandria Heinz

その1: サステナビリティで述べた、ファスト ファッション製造における環境問題や労働問題にも触れられているが、今回は右上の部分に注目したい。

アメリカでは毎年、200億点に及ぶ衣料品が購入される。それは一人当たり年間68点に相当し、つまりは一週間に1点以上という計算になる。

そして、

約1,300万トンは捨てられる。その内の160万トンは再利用が可能。(しようとすれば)

年間それだけの衣料が「消費」されている。これを後押ししている要素の一つは明らかにファスト ファッションだ。ファスト ファッション ビジネスの回転がよく、顧客が買い続ける仕組みには実は秘密がある

ファスト ファッションの回転の秘密
SKUとデリバリーは多く、ロットは小さく

大手ファスト ファッション はほぼ毎週、かなり大量の型の新商品を発表する。木曜日にウェブサイトや店頭に新商品を並べ、週末の集客・購入を図る場合が多い。デザイナー ブランドはシーズンにつき月ごとに商品のカレンダーを作っているのに比較して、毎週というサイクルは異常に短い。少年ジャンプ感覚だ。

更にカギとなるのは、ロット数の小ささ。その週に売り切るくらいの数を予測して生産・出荷している

ファスト ファッションのお店に行って、悩んで保留にし、翌週やはり買おうと決意して行ったら売り切れていた、という経験はないだろうか?それはまさしくファスト ファッションの戦略なのだ。

  • 週替わりの多くの型の新商品
  • 今買わないと売り切れるという焦り
  • 手の届く価格

この3つが組み合わさった、本当によくできた買わせるビジネス モデル

この戦略の下、広告を打たなくても消費者が短いスパンでお店に戻ってくると言われている某有名ファスト ファッション ブランドは、雑誌・インターネット・交通での高い広告費を抑えられると言われている。そしてそうやって売られた服がその後どうなるか、そんなことは知ったこっちゃない、という次第だ。

低品質

安くて速いファスト ファッション、当然品質は低い。そして消費者もその事実を周知の上で買っている。故に、数回着てほつれてしまったり、洗濯したら色落ちしたり形が崩れてしまっても、「安かったから仕方がない」と思ってしまうのだ。「どうせ流行のスタイルだし」という考えも手伝って。

ダメになってしまった服は処分し、またファスト ファッションのお店に行き、新しい服を買う。むしろ、次から次へと新しい服がまた買えるのそのサイクルに慣れてしまった今、それが普通になっている。

移り変わる流行に左右されるファッション業界において、スピードをうまく利用した画期的なシステムを提供したビジネスなのだ。

ファッションの未来を握るのは私たち?

買わせるビジネスであり、流行のスピードをうまく利用したビジネスである、ファスト ファッション。

しかし、私たち消費者は、物質主義に流されてはいやしないか

ビジネスの基本は需要と供給だ。需要側である消費者が、今一度ファッションの消費について、考えてみるのはどうだろう。ファスト ファッションをやめる、という直接的なボイコットではなく、ファスト ファッションが抱える問題を知り、その上で、その周りにある他のファッションの楽しみ方を選択する ‐ そういった前向きな意識改革

前向きな意識改革
好きなものを大切に

まず第一に、自分の好きなものをもっと愛そう

デザイナー ブランドは、高い。誰もがいつでも買いたいだけ買えるものではない。しかし、本当に好きで、心から欲しいと思えるものを買う喜びは、ファッションの持つ美しい部分ではないかな。

流行がつきまとうのがファッションだが、流行だけが引き金ではなく、もっと「好き」を軸に、ものを選ぶことを思い出してほしい。流行だけで買ってしまった、いわゆる「it バッグ」は、飽きる時が来てしまうと思う。それを見越して代替で買ってしまった模倣品もしかり。

見るたびに買った時のことを思い出せて、ずっと忘れないような、大切な買い物。しっかり悩んで、決定して、そして長く愛してあげて欲しい。質の確かなものは、あなたが大切にすれば、長く一緒にいてくれる。

ファッションを巡らせよう

古着という選択肢はどう?

かつてシアトルに住んでいた私の友人から聞いた話。先日ブルックリンのビンテージ ショップで衝撃的な出会いをしたらしい。それはなんと、シアトルを去る際に現地のスリフト ショップで売った、彼女自身が遊びでデザインして作ったこの世に一つしかないドレスをブルックリンで見つけたというのだ。自作のタグも、彼女の子供の頃の服からとったというボタンも、そのまま。次はどこに行くのかな。ドレスが旅をするなんて、素敵

今は、店頭のみならず、デザイナーものや希少価値の高いアイテムの買取・販売をしているプラットフォームが多い。eBayなど、グローバルなサービスもたくさんある。ある程度の目利きは必要になってくるが、慣れればとてもお得に欲しかったものが中古で買える場所だ。

更には、私の会社では数か月に一度、”Pick and Trade”と称して、着なくなった服や小物をオフィスに持ち込んでトレードをする機会を設けている。私の同僚は皆ファッションが好きで同じ業界で働いている。その仲間同士、一つ一つのものを大切にしているのを感じるし、自分のものを誰かがまた着てくれて、嬉しいし楽しい

デザイナーものでない古着であっても、同様だ。決して最高品質とは言えない大量生産の品でも、何年も前に作られ何度も洗濯されても着ることができるTシャツは、やはりファスト ファッションとは違う。旅をすることができるのだ。(事実、ファスト ファッションはあまりに質の低い原料・製造方法がとられているため、リサイクルさえできないと言われている。)

地球と、ファッションの未来のために

そして最後に、事実を忘れてはいけない。魅力的に見える部分だけを考えたら、ファスト ファッションは楽しい。しかし、その裏にある事実を知った上でとる選択はもっと重い。私たちの地球と、そしてファッションそのものの未来が掛かっている。


「COOKIEHEADがファスト ファッションをやめた理由」編集後記

私にとって常に心の中でもやもやしていたテーマであったファスト ファッションは、シリーズにしないと書き切れない内容だったので、やっと一通り書き終えて嬉しい。

かつて私もファスト ファッションで買い物をしていたし、楽しんでいた。疑問を抱くようになったのは比較的最近。しかし一度変わってしまった考えは、ファッション業界で働いていく中で、強い意思となった。知れば知るほど、このままでいることは無責任だと思うようになった

ファスト ファッションを身に着けていることを真っ向から否定するつもりはない。ラディカルな考えは持っていないし、それを実行する能力もない。ただ、多くの人に知って欲しい事実が多かった。私がそれらを知ってファスト ファッションをやめた経緯をシェアすることが、何か意味を成すかもしれないことを祈っている

そして書き終えて、ファッションが好きだと改めて感じた

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