ただ今、リンカーン センターのメトロポリタン オペラ ハウスで数週間に渡り公演中のAmerican Ballet Theatre (ABT)。ニューヨークの夏前の風物詩。今思えば3年前に偶然誘われたABT が、バレエとの出会いのきっかけだった。
こんなにも好きになるとは思っていなかったバレエ、そしてチャイコフスキーの世界。そんな私が今までニューヨークで観た(+ これから観る)バレエ作品5つ。
2014年の今頃。Manon というフランスのバレエを観たのが、私にとって初めてのメトロポリタン オペラ ハウス。しかも、なんとParterre (いわゆるボックス席。いわゆるセレブな席!)で観た。チケットが余っているから、と誘ってくれた友人に感謝。
バレエに関して無知であり、2時間半という長い作品だったため、眠気に襲われてしまったら高価なチケットに申し訳ないなぁ、と内心恐れていた。が、実際にはそんな心配は無用だった。
しなやかな身体と驚くほどの跳躍が織りなす、水の流れのようになめらかな「動き」の連続。セリフや歌がなくても伝わってくるストーリーを通して届く「感情」の波。衝撃に極めて近い感動を覚えた。
以降バレエに強く惹かれ、映像で鑑賞するようになったものの、生で観る舞台芸術というのは私には特別過ぎて、結局なかなか自ら出向くことのなかったリンカーン センター。戻ってきたのは、2016年のホリデイ シーズン、そう、The Nutcracker! 夫とホリデイらしいデートをしたくてNew York City Ballet (NYCB) のチケットを購入。父曰く幼い頃にロンドンのCovent Garden で観たというこの演目。子供も楽しめる、愉快で、年末で寒くとも心が暖かくなる作品。
そして、大人になって観たこのThe Nutcracker で、チャイコフスキーのバレエ音楽に恋に落ちた。
色んな音(楽器)が聞こえて、わくわくしたりどきどきする。
まるで子供が初めてオーケストラを聴いたかのような感想しか出てこないが、それが私が感じるもの。仕事中 オフィスではSolange や FKA Twigs などが流れる中、私はひたすらヘッドフォンでチャイコフスキーを聴くようになった。わくわくしたりどきどきして、トライベッカのオフィスにいながらも、まるで溢れる音の中で踊っている(妖精になった)ような気持ちに。
2017年の2月には、バレンタイン デイ に、同じくNYCB による、同じくチャイコフスキーのこちらを。
誰もが聞いたことのある旋律の数々。溢れる優雅さと華やかさ。
Rose Adagio での丁寧な踊りに魅了され、そしてGarland Waltz が始まった瞬間には、手を胸の前に合わせる王道の「うっとり」ポーズを無意識の内にしていた。
先週、チャイコフスキー作品ではないが、フランスの切ないロマンティック バレエであるGiselleを観てきた。
(前半はやや退屈だったものの、)一転、第二幕では、妖精たちのシンクロした踊りとドラマティックな展開にバレエそのものの醍醐味を感じた。
ABT初のアフリカ系アメリカ人プリンシパルである、Misty Copelandの夜を予約。このチケットは早くに完売になっていた。賛否両論ありつつも、やはりABTがもたらした新しい風を支持する人の多さを感じる。彼女の力強くしかし繊細だったGiselle。私はバレエや踊りの技術に詳しいわけではく、Mistyとその他のプリンシパルの比較等は正直わからない。しかし、様々な人種のプリンシパルを持つABTはとてもアメリカらしい、そしてニューヨークらしいと思う。プリンシパルを目指す子供たちへの大きな希望になる。
Misty Copelandさん(@mistyonpointe)がシェアした投稿 –
そして、6月の第三週のSwan Lake のチケットも予約してある。ずっと観てみたかったSwan Lakeは、悩んだ結果またMistyの公演にした。
あまりに心待ちにしていて、もしかしたら劇場で泣いてしまうかも。ロシアのBolshoi Ballet やイギリスのThe Royal Ballet の公演の映像を観て待ちきれない気持ちを埋めているが、ABT のSwan Lake、更にMisty の踊る白鳥に期待が膨らむばかりだ。
そしてこのSwan Lake をもって、チャイコフスキーの三大作品は制覇することになる。
NYCB と ABTそれぞれ、チャイコフスキーもそれ以外も、もっともっと観てみたい。New York Philharmonic によるチャイコフスキーのコンサートにも行ってみたいな。East は美術館、West はバレエやコンサート – マンハッタンのアップタウンは、クラシックな芸術で私を満たしてくれる。
好きなものが多い私だが、そこに古典が加わったのは実に新しい発見。