ニューヨークやその近郊都市にはアート名所が多く、有名な美術館もたくさん。しかしどこも見尽くした感がある中、どこかそこまで遠くなくアートが楽しめる場所はないかなぁと感じていた時にふと思い出したのが、ピッツバーグ。
ピッツバーグはペンシルベニア州の西側に位置し、州内ではフィラデルフィアについで2番目に大きい街。かつてはロカフェラーやメロン財閥を中心に鉄鋼業で栄えた。アイビーリーグの一つとしても数えられるカーネギー メロン大学が有名。スポーツも盛ん。
しかしそれより、私にとってピッツバーグといえば、アンディー ウォーホルの出生地。ウォーホルはニューヨークのイメージが強いが、実は広告イラストレーターとしてニューヨークにやってくるのは、カーネギー メロン大でアートの学位をとってから。20代前半までを過ごした彼の生まれ故郷には、彼の作品を集めた”The Andy Warhol Museum”がある。
実はそんなこんなを学んだのは、2014年帰国中に見たこちらの展示。
[http://www.mori.art.museum/contents/andy_warhol/]
森美術館のあの広い空間の中、かなりの数のウォーホルが展示されていて、夫と「もうピッツバーグのウォーホル美術館行かなくていいね!」と冗談を言っていたほどの充実っぷり。でも数年経って、やっぱりピッツバーグに行ってみたい!と思い立ち、飛行機で片道1時間半程度の週末の一泊二日旅を計画。弾丸で訪れたピッツバーグで、COOKIEHEADが楽しんだアートスポット3つはこちら。
THE ANDY WARHOL MUSEUM
https://www.warhol.org/]
こちらがその、ウォーホル作品だけを集めた美術館。彼の人生を時系列で辿る展示内容で、時代背景を捉えながら画家の生涯を巡る旅を楽しめる感覚。
実は結構地に足のついた人だったのだな、という感想と、彼の映像作品への強い情熱を改めて感じた。私は正直、彼の映像より二次元のアート、特に初期のイラストの方が好きだけれど。とまぁ、多岐にわたるウォーホル作品の数々を一度にこれだけ見ると、彼のどういった作品がおもしろいと思うかが見えてくる。
出向く前に、世界中の他の都市で大規模なウォーホル展をやっていないかどうか確認することをお忘れなく。ごっそり貸し出されてしまっている可能性が。
MATTRESS FACTORY
[http://www.mattress.org/]
こちらはウォーホル美術館から更に北を目指し、まるでロンドン郊外の少し荒れた地域を思い起こさせる住宅街(ってほとんどの人にピンとこない例えだが)を進んだ所にある。
コンテンポラリーで少し実験的なアートが中心。
みんなが大好きな 草間弥生もあるし、ジェームス タレルもあるよ。
しかし、私は大都市至上主義でもなんでもないが、中小都市の中小規模の美術施設でコンテンポラリー アートの作品それぞれの魅力を見せることの限界を感じた。決して悪いわけでもないが、やはり大手の美術館やギャラリーでの見せ方に慣れているせいで感じてしまう物足りなさというか、中途半端さが残る。でもかえって夫は、大胆なアートを素朴に展示している点が気に入った模様だったので、このスタイルが好きな人もいるのだと思う。
FALLINGWATER
https://www.fallingwater.org/]
最後は、フランク ロイド ライトによる建築 Fallingwater だ。2日目にレンタカーを借りて、ダウンタウン ピッツバーグを離れ自然の中を運転すること1時間15分で辿り着く。日本語では落水荘 (いい響き)。ピッツバーグのデパートメント ストアで成功した資産家 カウフマン一家がフランク ロイド ライトに依頼して別荘として建てたもので、完成は1938年。
鉄鋼で栄えていた当時のピッツバーグは空気が悪く、郊外の自然溢れる場所で水のせせらぎを求めたカウフマンに提案したフランク ロイド ライトのアイデアは究極だ – なんせこの家は滝の上に建っているのだから。
15人程度のグループにガイドが一人ついて、邸宅内の各部屋やゲスト ハウスを案内してくれる。随所に散りばめられたフランク ロイド ライトのアイデアには驚くばかりだった。(あいにく住宅内部の撮影は禁止。)
ツアー後にぐるりと外側を廻っていたら見つけたこちら。おそらく、建築時からそこにあった木の幹を残すべく作られたデザインではないかな。自然との調和を唱えたライトの「有機的建築」の極みを感じた。
運転をしてくれた夫へお礼として、Rizzoli出版のこの本を購入。
https://www.rizzoliusa.com/book/9780847835997/]
ピッツバーグ自体は正直見所が少ないけれど、いつもと違うアートが楽しみたい人にはとても面白いと思う。東海岸旅行のプランに加えてみるのも。