アメリカのビューティ界で今流行っていること

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ファッション同様、次から次へと移り変わっていくビューティ界のトレンド。作り上げられたものもあるし、自然とどこからか始まったものもあるし、そしてランウェイと強く繋がっているものもある。

アメリカ在住の私は日本の美容雑誌(そう、毎月後半に発売されるあの3つの有名な美容雑誌)をオンラインで購読しているけれど、それらを読んでいて見つけるトレンドと、アメリカで起きているムーブメントには大きな差を感じる。まぁそもそも、日本とアメリカのビューティ基準みたいなのが大きく違うから、というのもあるけれど。

私が最近よく目や耳にする、アメリカで流行っていることをまとめてみた。日本ではあまり言われていない、もしくは人気が出そうにないものも多いかもしれないけれど、その背景にある理由やカルチャーの違いも含めて、読みもの的に読んでみてね。

CBD ビューティ

CBD を初めて聞いた時、私と同様、何だろうと思う人がほとんどではないかな。CBD とは cannabidiol(キャナビディオル)の略称 – キャナビス由来の成分。

大麻と混同されることも多いけれど、ビューティに用いられる成分は異なる。簡単に言えば、大麻にはハイになる作用の成分があるのに対して、注目されているキャナビス由来のCBDはリラックスする効果をもたらす。医療目的でCBDの服用は多くの州で合法化されている。

このキャナビスが持つ抗酸化や抗炎症の効果がある可能性が発表されたのをきっかけに、最近急に増えたのが CBD ビューティ

もっと厳密にいうと、CBD 配合のプロダクトと、キャナビスやヘンプ由来のオイル(保湿成分)のみ配合のプロダクトがあるが、どちらも CBD ビューティと括られてマーケティングされていることが多い。私は個人的にはまだ試したことはないけれど、注目していたり使ったことがあるブランドからも CBD 関連のプロダクトが登場している。

cbd

1. Milk Makeup Kush High Volume Mascara はおそらくキャナビス系のアイテムがメインストリームになったきっかけのアイテム。最近発売になった2. Milk Makeup Cannabis Sativa Seed Oil Hydrating Mask 同様、保湿成分としてのキャナビス オイルに着目している。クリーン スキンケアで知られるブランドの 3. Herbivore Emerald CBD + Adaptogens Deep Moisture Glow Oil はCBDを実際に含んでいるフェイシャル オイルで、18歳未満は購入ができない。ヘンプ(麻)オイルでできていて CBD は含んでいないタイプもある。

どれも保湿と炎症を謳っており、これからもこの手のラインナップは増えていきそう。規制の関係で発送に制限があるが、アメリカでは広く受け入れられ始めている成分だ。

ノーバイ/ローバイ

アメリカは市場経済において資本主義が基本になっており、大量生産・大量消費のいわゆるリニア型経済を大きくしてきた。それはビューティの世界においても同様で、新商品のリリースは毎月、毎週のように発表されているのが現状。

その中で、最近多くのインフルエンサーが提唱しているのが、”No Buy”(ノーバイ: 購入しない)もしくは “Low Buy”(ローバイ: 購入を控える)というムーブメント。「新商品といっても、その内の一体どれだけのものが本当に新しく画期的?」、「今自分の持っているものとかぶっていない?」という目線から本当に必要かを考慮して、新しいリリースの購買に慎重になる、もしくは何がなんであれ買わない方針を貫く考えだ。たくさん買ってたくさん持っているのは憧れ、という流れが変わってきている。

参考記事: COULD 2019 BE THE YEAR OF THE BEAUTY NO-BUY? (Dazed Digital)

これには私も考えさせられる。新商品の多くは、パッケージ、コラボレーション、ネーミングなどマーケティングのトリックによって欲しいという気持ちを掻き立てる要素があるけれど、実際に商品そのものは必ずしもすごく新しいわけではないし、すでに持っているものに近い可能性も高い。

それと同時に増えているのが “Shop My Stash”(ショップ・マイ・スタッシュ: 手持ちを見つめ直してみよう)という、今自分が持っているものの収納場所をまるでお店のように考え、そこにあるものを見直して使っていこうというコンセプト。あとは、それを後押しする “Project Pan”(プロジェクト・パン: 底見えプロジェクト)で使い切る喜びを感じること。

私も実はノーバイ/ローバイのムーブメントには賛同し、始めている。(一見)新しいものについつい惹かれちゃうけれど、それより持っているものをしっかり使い切ることを通して「自分の本当に好きなもの」と「消費者としての責任」を実感している。

アンチ・アンチエイジング

数年前からアメリカで言われ始めた、「アンチエイジングをボイコットしよう!」というアイデアは、最近よく耳にするようになってきて、マーケットにも影響を与えている。

参考記事: Allure Magazine Will No Longer Use the Term

大きく取り上げられるきっかけとなったのが、Allure というアメリカで最大のビューティ メディアの一つが、2017年にこう宣言したこと。

私たちは「アンチエイジング」という言葉を今後使いません。

人は必ず老いるもの。そしてその先に待っているのは死だ。それは誰にも同じこと。しかし、それだけでなく、見た目が若く保てていないと社会的な死は早くやってくる。若い頃と比べて人の接し方が変わり、プロフェッショナルな世界でも人に影でからかわれたり、ポジティブなことであっても「(年齢の割に)きれいだ」とか、「(xx歳には見えないほど)肌ツヤがいい」と言った褒め方をされるようになる。

特に問題視するべきなのは、この傾向は圧倒的に女性に対して多く起きるということ。女性は、美しくいたいと思う故に、歳を重ねるにつれ若くいることにプレッシャーを感じざるを得なくなる。化粧品売り場に行けば、「アンチ エイジング」と書かれた商品は限りなくあるのに対して、男性をターゲットにしたアンチ エイジング 市場はほとんどない。完全なダブル スタンダードだ。

これにストップをかけるのが「アンチ・アンチエイジング」という考えだと私は解釈する。

事実、どれだけ高いクリームやセラムを使ってもシワやシミが完全に消えることはまずないし、肌が劇的に生まれ変わることはない。メイクアップで若返ることにも限界がある。それより、自分が心地よいと思う自分らしい美しさを毎日楽しむことの方がよっぽど気持ちがいい。歳を重ねるのは性別も人種も関係なく皆、それぞれのスピードで進んでいくこと。それと向き合いながら、きれいでいられたらそれでいいじゃない?ということで、私はこのムーブメントには大賛成 – アンチ・アンチエイジング派です。

ヨガ スキン

最後の2つはメイクアップのトレンドで、まずはヨガ スキン。新しいスキンケア方法みたいに聞こえるかもけれど、実はこれは、「ヨガをした後のような肌」のベースメイクのこと。つまりは、ヨガでリラックスしながらも汗をかき、体温が上がって、内側から発光するようなツヤツヤのヘルシー肌。

ツヤ肌の人気は根強いけれど、特にこのヨガ スキンは、ハイライトやコントゥアリングで不自然なほどの立体感を演出してツヤを強調するものではなく、自然で肌の質感を感じさせるツヤ肌。

SS19のランウェイでもヨガ スキンを感じさせるルックが結構あった。

yogaskin

メイクアップよりもTata Harper のスキンケアを多用してツヤを演出したという、1. Stella McCartney はヨガ スキンの教科書的なヘルシー ツヤ肌。ほぼすっぴんルックなのは 2. Isabel Marant。おでこにあるほのかなツヤがデコルテにも見られてより自然な印象を与えている。3. Altuzarra はオレンジっぽいブロンザーが主役。コーラルの目元とリンクして、まさに紅潮した印象がかわいい。

私も暖かくなったら、Altuzarra のメイクアップを参考に健康的なヨガ スキンを作ってみたいな!

素眉

最後は眉毛。眉って流行があるのがこわいよねーって内心思うジャンルなんだけど、こちらも肌同様、自然な “Virgin Brows” 、ようは素眉風が今の気分。ジェルなどでがっつりあげる強調されたボサボサ眉ではなく、あくまで眉本来の毛流れを感じさせるのがキー

brows

SS19 ランウェイで目を引いたのは、1. Proenza Schouler。生え揃った完璧眉のモデルも、まばらで薄眉のモデルも、どちらもあまりいじらずにとかして整えただけの印象だったのが好き。本来の眉を生かしている。2. Simone Rocha は、大きなグリッターを瞼全体に広げたアイメイクと対照的に、眉はシンプルに整えていたのが新しい。取り入れやすい素眉は 3. Christopher Kane。おそらくパウダーかな?足りない部分は補って、きれいに整えられているけれど自然な仕上がり。眉に自信がなくてもこれならできそう。

ずぼらな私は自然な眉が好きなので、この流れはとてもありがたい!


日本よりビューティにおける価値観に自由が多い気がするアメリカ。その分、数あるトレンドの中から自分に合うものを選んで試しながら楽しむことができる。日本とはちょっと違う最近の傾向、気になったものはありますか?

THE LITTLE WHIM は化粧品における動物実験に反対しています。取り上げる化粧品は2018年9月以降、クルエルティフリー(cruelty free: 動物実験をしていない)に限定しています。

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