ここ最近、2つのアメリカ大手ファストフードチェーンのミートフリーメニュー導入が大きな話題になった。
一つ目は Burger King(バーガーキング)の Impossible Whopper(インポッシブル・ワッパー)。
Impossible Whopper | Burger King
https://www.bk.com/menu-item/impossible-whopper
Burger King + Impossible Foods | Impossible Foods
https://impossiblefoods.com/burgerking/
Impossible Foods(インポッシブル・フーズ)による100%プラントベースパテである Impossible Burger を使ったハンバーガー。チーズとマヨネーズを入れなければヴィーガンになる。現在はアメリカ全土の Burger King 店舗で展開されている。
もう一つは KFC(ケンタッキー・フライド・チキン)の Kentucky Fried Miracles(ケンタッキー・フライド・ミラクル)。
Kentucky Fried Miracles | Beyond Meat
https://www.beyondmeat.com/whats-new/beyond-fried-chicken/
こちらは Beyond Meat(ビヨンド・ミート)の100%プラントベースチキンを使用したチキンナゲットとフライド・ボーンレスチキン。8月にジョージア州アトランタで試験販売され、予想以上の売れ行きを見せて5時間で完売したことが話題になった。今後アメリカ全体で展開されることが期待されている。
Impossible Foods や Beyond Meat については以下の記事で触れているので気になる方はあわせて読んでみてね。
肉の代替品には賛否両論がある。私自身は健康・環境・倫理などの点から問題点を調べて理解を深めた上で、特に賛成でも反対でもない立ち位置。進んでは選ばないけれど、ヴィーガンのオプションとして意義がある存在だとは思っているし、機会があれば今後も食べることがあると思う。
何より注目すべきなのは、大手ファストフードチェーンである Burger King と KFC がプラントベース市場に参入したという事実。この動きは今後も盛んになることが予想されていて、現にニューヨークに住む私もレストランチェーンのこういった新しいメニューの広告などを見る機会が急激に増えていると感じる。
今日は、私が名前を知っているレストランチェーンが扱っているヴィーガンメニューをまとめてみようと思う。この記事を書く上での免責事項を予め記しておく。
- 私自身はレストランチェーンやファストフードチェーンで食事する機会は極めて少なく、紹介するものを食べたことはない。
- レストランチェーン、特にファストフードビジネスは健康面や環境面での問題は山積みなので、レストランチェーンのヴィーガンメニューを勧めることが目的では決してない。
- こういったオプションが役に立つと思う点は大きく2つ: 1. ヴィーガンではなくてレストランチェーンが好きな人にとって、肉を減らしながらも好きな食事を楽しめるということと、2. ヴィーガンがアメリカの地方に行ってヴィーガンレストランが見つからない時に、多くのエリアで展開しているレストランチェーンのヴィーガンメニューは助かるということ。
- 今回取り上げるのはメニューに大きな変更を加えてヴィーガンになるものではなく、変更が簡単なベジタリアンメニューやそのままヴィーガンメニューとして提供されているものに限定する。
- サラダなど元々野菜が中心のメニューではなく、肉・乳製品・卵の代用品を取り入れた「ヴィーガン化」されたメニューを取り上げる。
- グローバル展開されているビジネスも多いが、今回取り上げるのはアメリカでのメニューに限定する。
アメリカでは、特別なレストランに限らずチェーンですらヴィーガンの動きが進んでいるんだな、ということを持ち帰ってもらえたら嬉しい。
DUNKIN’ DONUTS
“America Runs on Dunkin'”(Dunkin’ はアメリカの原動力)というキャッチコピーがあるほどアメリカ全土にフランチャイズ展開されている Dunkin’ Donuts(ダンキン・ドーナツ)。ドーナツだけでなく軽食メニューも展開している。
彼らも今年、Beyond Meat と共同でミートレスなブレックファスト・サンドウィッチを発売した。チーズと卵を入れず Beyond のソーセージのみのイングリッシュマフィンのサンドウィッチにすれば、ヴィーガンになる。
現在はニューヨークのマンハッタンにあるロケーションのみでの展開。今後拡大されるのかが注目されるところ。
SUBWAY
日本でもおなじみサンドウィッチで有名な Subway(サブウェイ)も、Beyond Meat と提携しプラントベースのミートボールを限定店舗で試験導入。
ヴィーガンにするには、卵・乳製品・はちみつが入っていないパンを選びチーズを避ける。
Taco Bell
日本でも展開されている、タコスやブリトーなどで知られる Taco Bell(タコベル)。
最近バラエティに富んだベジタリアンメニューが発表された。ほとんどはチーズとサワークリームを除けばヴィーガン化可能。
CHIPOTOLE
メキシカンフードを提供する Chipotole(チポートレ)。サブウェイのように、自分で中に入れたいものをカスタマイズしブリトー、ボウル、タコスなどを作れる。
肉の代わりになるオプションとして野菜の Fajita Vegetables や大豆でできた Sofritas を選び、ソースやチーズに配慮すればヴィーガンのメニューを作ることができる。
Chipotole のウェブサイトでは、ヴィーガン、ベジタリアン、グルテンフリー、パレオ、乳製品不使用など自らのダイエタリー・チョイスに合わせて食材をフィルターにかけられるサービスもある。上の画像はヴィーガンフィルター。
LE PAIN QUOTIDIEN
ベルギー系のベーカリーチェーンである Le Pain Quotidien(ル・パン・コティディアン)もヴィーガンメニューを始めた。
緑豆とターメリックでできたプラントベースでコレステロールフリーの卵代替品 Just Egg(ジャスト・エッグ)を使ったフリタッタ(キッシュのような感じ)がこの秋発売されている。
Just Egg はスーパーマーケットで購入することも可能。豆腐を使ったスクランブルエッグはたまに作るけれど、ヴィーガンキッシュはなかなか作れないので食べてみたいな。
加えて、Le Pain Quotidien のオーガニックパンはブリオッシュ以外はヴィーガン、フリタッタ以外にも数種類ヴィーガンメニューがあると FAQ に記載されている。
SHAKE SHACK
日本にも上陸しているハンバーガー屋さん、Shake Shack(シェイク・シャック)はかねてから Shroom Burger というマッシュルームを使ったバーガー(写真右)があったが、ブラウンライスベースのベジパテを使った Veggie Shack(写真左)も一部店舗で販売開始し、7種類あるバーガーの内ヴィーガン向けのオプションは2つになった。
ヴィーガンにするには、チーズを抜くのを忘れずに。
PANDA EXPRESS
アメリカ最大のチャイニーズフードチェーンである Panda Express(パンダ・エクスプレス)は、既存メニューの材料を見直すことでヴィーガン化をした。
Eggplant Tofu や Lo Mein など元々肉・魚を使用していなかったメニューでありつつチキン由来の調味料が使われていてヴィーガンではなかったものを、完全ヴィーガンに移行したそう。
BASKIN ROBBINS
日本ではサーティワンの愛称で親しまれているアイスクリーム屋さん、Baskin Robbins(バスキン・ロビンス)。現在、dairy-free(乳製品不使用)のフレイバーを2種類展開している。
Non-Dairy Chocolate Chip Cookie Dough と Non-Dairy Chocolate Extreme は乳糖不耐症やアレルギーの人にも優しい。
JAMBA JUICE
ジュースやスムージーが手軽に飲める Jamba Juice(ジャンバ・ジュース)。今まであったアーモンドミルクを使ったスムージーに加え、この度 Oatly(オートリー)のオートミルク(オート麦からできたミルク)を導入することに。
Oatly のオートミルクは今ニューヨークのコーヒーショップでは見ないことはないと言っても過言ではないほど出回っていて、スーパーマーケットでも簡単に購入できる。アーモンドミルクや豆乳よりなめらかでクリーミーなので、コーヒーにすごく合うし、スムージーもリッチになるんじゃないかな。
BAKED BY MELISSA
カラフルなミニサイズのカップケーキで知られる Baked by Melissa(ベイクド・バイ・メリッサ)は、ヴィーガンカップケーキを発表。
Strawberry, Peanut Butter, Chocolate Vanilla Chip, Triple Chocolate Chip, Cookie Dough, Superfood(チア、スピルリナ、ビート)の6種類展開。
DISNEY WORLD/DISNEYLAND
最後は番外編で、ディズニー。
フロリダの Disney World(ディズニーワールド)と カリフォルニアの Disneyland(ディズニーランド)には合計して600のレストランやファストフードレストランがあるとか。今回ディズニーは、パーク内の多くの飲食店で400以上のヴィーガンのメニューを導入することを発表した。Disney World はこの10月から、Disneyland は2020年春からスタートするそう。
世界中から多くの人が訪れるディズニーがこうやって本腰を入れたことは、インパクトがある。
これが全てではないし、今後のヴィーガンメニュー導入が噂されているチェーンビジネスは他にもたくさんあるみたい。チェーン店であってもヴィーガンオプションがあるのが当たり前になる日も近いかもしれない。
私はローカルなお店で食事をする方が好きなのでチェーン店はあまり利用しないけれど、こういった選択肢があるのはヴィーガンの人にとって助かる機会はあると思うし、何よりヴィーガンやベジタリアンではない人がミートフリーの選択をするきっかけ作りになると思う。
ニューヨークでちょっとジャンクやB級グルメなものだったりデザートをヴィーガンで楽しみたい方は、「ヴィーガン・ギルティ・プレジャー」シリーズ でローカルなお店を取り上げているのでぜひあわせて読んでみてね。