世界のヴィーガンにインタビュー VOL.7 – ニューヨーク在住 COOKIEHEAD

THE LITTLE WHIM では、アニマルライツや環境、人権への関心が高まるにつれて、ヴィーガンライフスタイルへの意識はどんどん強まってくると考えている。

少しでもヴィーガニズムについて学び、身近に感じ、できることから始め、続ける – そのきっかけを求めて始まった連載、世界のヴィーガンにインタビュー。企画の詳細については以下のリンクから。

第7回目はアメリカ ニューヨーク在住 COOKIEHEAD

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はい、THE LITTLE WHIM 運営者の私です。がっかりな方はごめんなさい。ちなみに私のプロフィールはこちらから。

2019年6月に始まったこの連載、今まで6名のヴィーガンの方に、インタビューに参加してもらった。ヨーロッパ、アメリカ、そして日本。もっとほかの国や地域の方にもお願いしたい一方で、この企画を始めた頃の自分自身のことを、先日考えていた。

当時私は、食生活はプラントベース。でもそのほかの部分でヴィーガニズムの理解に不透明な部分があった。だから、いろんな方の話を聞きたかった。せっかくならそれをまた別の方々に伝える場所にもしたかった。

私は段階的な移行をし、いわゆるヴィーガン記念日はないのだけれど、プラントベースの食事をし、動物の利用・搾取が関わるものを避ける生活になっておよそ1年半経つ。そろそろ、自分の言葉で話せるかも?と思う。なので、今日は私、COOKIEHEAD が、自分にインタビューします。

1.     いつからヴィーガンになりましたか?そして理由は?

2018年冬ごろから、食事においてはベジタリアン(時々出汁などを食べるペスカタリアン)といった感じが数ヶ月続いていました。フルタイムで働いていた仕事が営業で、ニューヨークや出張先のパリで大人数の外食が多く、肉魚を避けることは可能でも、それ以上に縛ることで生まれる対人的な窮屈さを感じていました。2019年3月ごろ、その仕事を辞めたタイミングで、自分が望む生き方に集中する余裕が気持ち的に生まれ、プラントベースの食生活、そのほかにおいても可能な限りヴィーガンの選択を進めるようになりました。

ヴィーガニズムにつながる、動物の利用・搾取について考えたり意識するようになった一番最初のきっかけは、化粧品の動物実験でした。日本ではあまり見えにくい、動物実験していないコスメとしているコスメが混在している状態が、アメリカではもっと明確だと感じます。それをもっと知ろうとするようになり、化粧品・日用品においてクルエルティフリーを選ぶようになったのが始まりだったと、今振り返ると思います。ビューティ系の記事も多い THE LITTLE WHIM では、2018年から、動物実験をしていないコスメに限定して記事を書くようになりました。(今はすべてがヴィーガンかつクルエルティフリーです。)

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そこから、動物実験だけでなく、動物の命を奪うことが当たり前の前提としてある上で成り立っているさまざまな事柄が自分の生活にある事実を、まるで見ないようにしている自分に気付きました。「おかしい」「でも仕方ない」の葛藤をしばらく繰り返しながら、ドキュメンタリーや文献を通して冷静に「この現状は、本当に仕方がないのか?」と自分に問いかける中で、ヴィーガニズムにたどり着きました。

そして動物のことを考えるだけでなく、主に商業的に動物の搾取を巻き込む私たちの生き方は、環境や(特に抑圧された状況にある)人々にも大きな影響を与えていることを学んだのも、大きく関係しています。土地と水を大量に要し、温室効果ガスを排出し気候危機の原因の大きな一つとなっている畜産や酪農、海の生態系を乱しゴミを残していく漁のこと、そういったシステムによって苦しめられている人たちの存在などを識るにつれて、いよいよ自分の判断は固まっていきました。

2.     どのように移行しましたか?

食事に関しては、徐々に減らしていく感じでした。一番最初は、肉を買わない(自宅で肉を調理しない)、だったと思います。そこから、外でもオーダーしなくなり、魚を食べなくなり、卵・乳製品も欲しくなくなり、ケーキやアイスクリームなどは泣く泣くな部分を持ちながらもやめて、最終的に家に残っていた動物性を含む食材を消費し切って、プラントベースになりました。「肉を買わない」のスタートからプラントベースになるまで、半年かもうちょっと掛かったと記憶しています。テンペ、ニュートリショナル・イースト、フラックスシードやヘンプシードなど、それまでは知らなかった、ヴィーガンならでは?的な食材を初めて試すのをいろいろ楽しみました。

それと同時に、洋服やコスメなど生活の中のものも見直し、「人道的」や「残虐性のない」採取や利用という考え方にも同意できないと感じ、新しくヴィーガンではないものは購入しなくなりました。ただ、すでに持っていたものは、処分せず引き続き利用しています。特にニューヨークの冬は寒さが厳しいので、ウールやダウンは、以前買い今もまだ着られるものや、中古品で買い足したものは、着用しています。

今も2014年に地元のシェルターから譲り受けた保護猫と暮らしていますが、私の生活には小さい頃から常に猫がいました。6歳の時だったかな、母の実家の近くで生まれた猫を譲ってもらったのが初めてで、その子は白猫でした。幼いながらに、私が顔をうずめるふわふわの真っ白な猫と、人が着るジャケットのフードに付いている白いファー、どう違うのだろう?と疑問に感じていました。なので、ファーは昔から受け入れるのが難しかったです。「ファーだけはちょっと…」というのは、無意識の内に生まれている偏った見方であり、人の認知の中にある矛盾の一つだったな、と今になって思います。

4.     周りの反応はどうでしたか?

自分でも拍子抜けするほど、初めて告げた時から家族や友人には理解があり、感謝しています。

一緒に暮らす夫は料理が苦手なので、家では私が作ったものを食べ、外食も私に合わせるので、自然とほぼプラントベースです。私がいない場所、たとえば友人と私抜きで食事をする際や、仕事関係のランチやディナーにおいても、少なくともベジタリアンの選択肢から選び、可能な限りプラントベースなようです。私の思うところにおおむね同意している印象で、食事以外も可能な範囲で動物の搾取は避けています。

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夫婦でお気に入りの、ウィリアムズバーグにあるヴィーガンカフェ・ベーカリー “Terms of Endearment” にて。ヴィーガンではない方にも自信を持ってオススメできる場所。

通常であれば年に1回は一時帰国する中で、東京の家族とは、プラントベースの内容で食事を楽しんでいます。特に、小さい頃から私は母の手料理で育ったのですが、「美味しいかはわかんないけどねー」と言いながらいつも私の好きなものを動物性を使わない料理でたくさん用意してくれて、懐かしい母の味を楽しむ貴重な時間を送ることができます。しかも自信のなさをほのめかす前置きとは裏腹に、美味しい!

今年は一時帰国ができなそうですが、母からは東京や日本のプラントベース情報が送られてきます。「次の帰国の際は一緒に行こうね」と。

父と兄、そしてニューヨークの義家族も同じように、私の選択を理解・尊重してくれているのを感じられ、ありがたいです。東京・ニューヨークともに、友人や元同僚、フリーランスの仕事でお世話になる方々も、みな受け入れてくれます。もちろん、そうでない状況に悩まれている方も多いのを聞き知っているので、私は恵まれている例なのだろうな、とも感じます。

5.     ニューヨークのヴィーガン事情をおしえてください。

アメリカの中でも特にニューヨークは、さまざまな背景を持つ人たちが集まっており、食文化も多様です。ゆえに飲食店は、アレルギー対応を含め、食の選択についてある程度は融通を効かせるのが暗黙のルールといった感じです。動物性の材料をほかのものに置き換えてもらうカスタマイズ、 “veganization” は、大体の場所で受け付けてもらえます。レストランのメニューには、もし100%ヴィーガンのところではなくても、ベジタリアンやヴィーガンの表記があることが多いので、選びやすいです。最近では星がついているような高級レストランにも、プラントベースのコースを用意しているところがあります。

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甘いものに目がない私。ヴィーガンのチョコレートドーナツを平らげたあとに、ほかにも食べたいものを見つけた瞬間。

もちろん、100%プラントベースの飲食店もありますし、増えていると感じます。

スーパーマーケットなどでも、プラントベースの選択肢はどんどん広がっています。専門的な場所もあるし、そうでない一般的なお店でも、取り扱いは少なからずあります。植物性のミルク・乳製品や卵、モックミート(肉に似せたプラントベース食品)など、どんどん新しい製品が発売されています。ヴィーガン表記をする製品も増加しているように感じますね。

食事だけでなく、ニューヨークやアメリカには、ヴィーガンファッションのお店、クルエルティフリー(ヴィーガン情報も明確)のコスメショップやヘアサロン・ネイルサロンなど、動物の搾取を減らすことに基づくリテールやサービスを見かけるケースが多くなってきました。

6.     健康上や生活上、ヴィーガンを続ける中で特に気にかけていることはありますか?

私の場合は動物のことと環境のことを考えてヴィーガニズムを選んだので、栄養や健康のことの理解はあまり深くないです。なので最初の頃は特に、「タンパク質がー!」「ビタミンB12がー!」「オメガがー!」と気になっていました。

YouTube やソーシャルメディア、インターネットでさまざまなレシピや栄養に詳しい方の情報を得ながら、

  • バランスよく食べること
  • 素材そのものを生かし、加工品は控えめにすること
  • それでも足りない部分はサプリメントで補うことに引け目を感じないこと

この3つを健康管理において重視しています。

くわえて、対人的に気をかけていること。ヴィーガニズムに懐疑的になる原因の一つに健康面を挙げるケースをよく見かけます。私の場合は、まず健康に大きな問題がないというありがたい点がある上での話ですが、以前の食生活の頃だって栄養の摂取が完璧だったわけではありません。プラントベースになってからの方が、気にかける部分が自然と増えたようで、健康診断の結果に大きな問題はありません。足りなくなりがちな栄養素や気になる健康要素に関しては、医師のアドバイスに沿って食事で改善するとともに、サプリメント(ヴィーガン処方)も摂取します。私の担当医は、プラントベースにも賛成してくれています。

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食事が健康維持の上で重要であるのは、ヴィーガンであろうがなかろうが、同じはずなんですよね。たとえば、特に肉食過多だったり加工肉を多く食する方は高血圧や心臓の疾患、そのほかの病気を引き起こす危険性が高い。プラントベースには、摂取しづらい栄養素がある。どちらも言われていることです。揚げ足取りをしたいわけではないですし、いくら倫理的な意見がからむ場合であっても、誰かの食生活に口出しをするのは時として、食を通して生き方を否定されたり非難されているととられることもあります。相手の健康状態も100%はわかりません。詳しい知識のない私は、アドバイスするのには慎重になる必要があります。

環境面を重視した会話の場合 。たとえどれだけ多くの人が今ヴィーガンになったとしても、世界中で発生している山火事や異常気象が瞬時におさまるとはもちろん思っていません。もっと重要なのは政治や企業活動などの抜本的な変革です。ただ、一般生活者も、特に食において、従来のあり方から変えていく時がもうすぐそこまで来ているとも思っています。当たり前を変えるのは少なからずエネルギーがいること – 早くから慣れておくのはいいのではないかな、と、「未来のダイエット(食事)」みたいな感覚で伝えています。

7.     ヴィーガニズムに関心がある方やこれからヴィーガンになろうと考えている方に、アドバイスをお願いします。

「夫婦でヴィーガンになる上で秘訣はありますか?」「家族が理解してくれない時はどうしたらいいですか?」といった質問をいただくことがあります。しかし私の場合は、先述の質問 4 でお答えした通り、周りからの理解・尊重がありその悩みを持ったことがないため、経験に基づくお話をすることはできません。

その中で、私が意識しているのは、「私の周りにいる人たちの理解がなかったら、私自身すらヴィーガンになるのを躊躇していたかも」ということです。(その人たち本人がヴィーガンになっていなかったとしても、)私の考え方を受け入れサポートしてくれていることが、私が持つヴィーガニズムの意志を生かしてくれているのを認識するのは、実はすごく大切なことだと感じます。

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母と行った、表参道にあるブラウンライスの八朔のヴィーガンタルト。昔と変わらず、母と東京で、甘いものを食べながらお茶できるのは嬉しい。

たとえ一緒にヴィーガンにならなかったとしても、まずは理解・サポートしてもらうことが大事な一歩。少しずつ話しながら歩み寄っていく形を、それぞれの関係性において作っていけたらいいのではないかな、と感じています。自分がヴィーガンであることで動物の利用・搾取を減らし、少しでも環境への影響を考える前向きさが生まれるのは、自分だけの成果ではないことを、忘れないようにしたいです。

8.     そのほか、メッセージやコメントがあればどうぞ。

私の住むアメリカでも、世界でも、そして日本でも、どんどん広がっているヴィーガニズムの考え方。最近はソーシャルメディアやカジュアルな雑誌でも、「なぜ」の部分も合わせて肉食を減らすことやそれに似た選択肢によってもたらせる効果について、書かれているのを目にします。

環境や社会への影響については、複雑な話をかなり噛み砕いている内容も多く、わかりやすい一方で、信憑性に疑問を持つ時も出てきます。たとえば数字が関与するものは、似たようなデータをベースに異なる解釈を見かけたりすると、専門知識がない私は混乱することも。細かい差異がざくっとした言葉の中に潜んでいる気がして、受け取り方にもよるのかな、と思います。私も数字やデータを使うことがあるので、難しさを感じます。

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親しい・近しい友人や知人に「どうしてヴィーガンになったんだっけ?」と聞かれた時も、説明することが多過ぎる&説明し切る自信がない&相手がどこまで知っていて何を知りたいのかわからないゆえに、「いろいろと、いいらしいよー(てへぺろ)てか、このヴィーガンケーキ美味しいわぁ」とごまかしてしまうことも実は多いです。(もし相手が強い関心を持っている印象を受けた時のために、今年6月に出た The Guardian の “Why You Should Go Animal-Free: 18 Arguments for Eating Meat Debunked” の記事はブックマークして備えてはいます。)

でも、てへぺろの奥には、ただ面倒くさくて説明したくない、という惰性なわけではない、複雑な感情もあります。結局のところ、私がヴィーガンでいる究極の理由は「自分のために生まれた動物がいて、そして苦しめられて殺されているのがイヤだ」「だってそんなのおかしいし、悲しいもん」という、まるで子どものような感情。少なからず、胸が潰れ嗚咽が止まらなくなるような、畜産・酪農・卵の生産・繊維業の現場の映像や画像も以前は観ました。もちろんすべての施設が同じ営みではないことは理解しています。それでも、私たちの多くにとって身の周りにある動物性のものには、生命があった。どんな方法であれ処理・加工され、製品になって手元に来るのです。

そしてそれは、動物と人間の関係性を見る枠組みを超え、植民地主義、社会的不均衡、環境正義や気候正義といった、圧倒されるほどに複雑な数々の課題になにかしら絡みこんでいる事象であることにも気づきます。

ヴィーガンになって1年半、数々の衝撃を受けた気がします。その時の気持ちを、ヴィーガンについて聞かれると思い出します。いくら近しい仲でも、説明するのは苦しいです。その苦しみを、誰かと分けるのも苦しいです。てへぺろの軽さで済ませるのは、実は重過ぎる思いをした経緯があるからなのです。

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昨夏に訪れたオレゴン州・ポートランド、そしてマンハッタンの、それぞれヴィーガンのお店で見かけて惹かれた、2つのピンバッジ。なんだか私の気持ちを代弁してくれている気がして、握りしめたくなります。

豚のイラストの方には、”Bacon had a mom(ベーコンにもママがいた)” と。気づきが生まれた時から今も持ち続けている、私の中にある気持ちは、このくらいシンプルなんだと思います。

牛のイラストの方には、”A little veganism never hurt anybody(ヴィーガニズムは、つらいことじゃない)” と。ヴィーガニズムは生き方であり、自分のパーソナリティを形作る要素の一つのような感じ。幸せになると思って選んだことは、大変でもつらいわけでもない。

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推定8歳、あまえんぼうの保護猫 Petticoat(ペチコート)。

今は、インターネットやドキュメンタリー映画を通して、なにかを知り調べるきっかけを得ることも多いです。ソーシャルメディアでも、倫理・環境・社会の視点を含めたさまざまなアプローチでヴィーガニズムを広めている方々が、日本そして多くの国や地域にいらっしゃいます。視覚的情報が苦手な方も一部いると思いますが、それだけではありません。

私は衝撃の強いものは自分のソーシャルメディアや THE LITTLE WHIM では引用することがほぼありませんが、さまざまな視点やライフスタイルにおいてヴィーガニズムと向き合うことのサポートは、微力ですが担っていきたいです。それがこの「世界のヴィーガンにインタビュー」シリーズだったり、ヴィーガンの美味しいものや素敵なものを通して感じるメッセージを記事にして送ることです。

ママから生まれた動物のことを思う生き方は、つらいことじゃない。事実を知る過程で苦しみもありましたが、今ヴィーガンとして生きている私は前向きな気持ちであるという事実を大切にしたいし、会話にしていきたいです。

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