7月に突入し、ニューヨークもだいぶ日差しが強く夏らしくなってきた。
そして今月に入ってよく目や耳にするようになったのが、Plastic Free July(プラスチック フリー ジュライ)。
7月をプラスチックフリーの強化月間とするキャンペーンで、プラスチックが環境に与える問題を啓蒙し、レベルごとのチャレンジを提案し少しずつできることから始めてみることを後押してくれる。
それに伴い今回 THE LITTLE WHIM では、プラスチックフリー コスメに注目してみる。コスメにおいて、パッケージングは機能性や利便性も左右するのでとても重要。その中で幅広いカテゴリーでパッケージに使用されるのが、丈夫で汎用性が高い上にコストが抑えられるプラスチック。
参考記事: ”How much would it cost to wwitch to plastic wlternatives?” (BBC)
ところが記事にもあるように、プラスチックは、原料は石油であり、そして過剰利用・廃棄されている今、自然に還元するのに何百年もかかるため地上でも海洋でも大きな問題になっている。全体的に見た際リサイクルされるのはほんの一部でほとんど機能していないのが現状。私は化粧品が大好きだけど、この事実は無視できない。
「環境を意識したコスメはつまらなそう」、「パッケージを優先してコスメを選びたくない」そんな風に以前は思っていたけれど、最近は選択肢が多くなっていて楽しい。
そして、読者の方には、ここに登場するものだけをオススメしたいわけではなくて、こうゆうものもあるんだと思っていただけたら嬉しいな。
どのアイテムもクルエルティフリーで、更には特筆されている場合を除いてはヴィーガンだよ。後半にはプラスチックフリーがちょっと難しいかも?というカテゴリーで取り入れられるアイデアや工夫もまとめています。
メイクアップ編
ILIA BEAUTY, TRUE SKIN SERUM FOUNDATION
まずは肌に極力優しい処方のメイクアップが揃う Ilia Beauty(イリア・ビューティ)のセラムファンデーション。ミニマルなデザインがシックな、ガラスのボトル。蓋は再利用アルミニウムを使用。
リキッドファンデーションはガラスボトルを使用しているものがたくさんある気がするので、始めやすいところじゃないかな。
※ このファンデーションはヴィーガンですが、Ilia にはヴィーガンではない商品もあります。Ilia のヴィーガン商品一覧はこちら。
ANTONYM, BAKED BLUSH & BAKED HIGHLIGHTING BLUSH
ヨーロッパの厳しいエコサート基準のオーガニック成分を使ったメイクアップブランド、Antonym(アントニム)。
すごく発色がいいチークブラッシュと、シマー感が強くハイライトとしても使えるハイライティング・チークブラッシュは、特に日焼けをしている今の肌にぴったりですごくお気に入り。
どちらもバンブーのケースに入っていて、プラスチックフリーなだけでなくユニークでおしゃれな存在感。詰め替えができるようになったらなおいいな。
KJAER WEIS, CREAM BLUSH & LIP GLOSS
ラグジュアリーなオーガニックブランドである Kjaer Weis(キーア・ワイス)のすごさは、どの製品もリフィルを販売しケースは半永久的に使えるところにある。ラグジュアリーでありつつこういった取り組みを徹底しているブランドは珍しく、先を行っている印象。
クリームブラッシュのずしりと重いメタルのケースはブランドのロゴをあしらっていてデザイン性が高い(値段も高いけれど)。
写真のようにリフィルは紙パッケージに入っていて、持っているケースに簡単に詰め替えられる。
リップグロスの本体部分はガラス、蓋の部分はメタルで、本体部分だけリフィルを購入できる。
パッケージにばかり目がいってしまうけれど、プロダクトそのものも色・ツヤ・持続性がすごくいい。
※ このクリームブラッシュはミツロウ(蜂由来の成分)を含むので、ヴィーガンではありません。他にもヴィーガンでない商品があります。詳細はこちら。私はヴィーガンになる以前からこのブラッシュを使っていて、この記事のテーマであるパッケージにおける取り組みが革新的なので、悩みましたが今回取り上げました。今後ミツロウをフォーミュラから排除してくれることに期待します。(ブランドにヴィーガン フォーミュラの検討依頼メールを送りました。)
AETHER BEAUTY, EYESHADOW PALETTES
Aether Beauty(エイサー・ビューティー)は新しいブランドで、現在アイシャドウのみの展開。メイクアップ好きも納得できるクオリティ・色展開・グリッターやシマーのバラエティを徹底しつつも、極力クリーンなフォーミュラで仕上げられている。
パッケージへのこだわりもしっかり。紙パッケージであり、印刷には自然に優しい大豆由来のインクが使われている。リサイクルをする上で邪魔になる鏡はつけず、そして閉じる役目を果たすゴムバンドもリサイクル可能な素材を使用。文字どおりパッケージ全体が100%リサイクルできるように配慮されている。
ケア編
ザ・ボティ・ショップ, サンプチュアス クレンジングバター
【2020年3月追記】
この商品は原料にパーム油由来の成分が入っていることを学びました。オフィシャルサイトによると、ザ・ボディ・ショップで使用されるパーム油は WWF の RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証とのことです。使用されるかは、ご自身でご判断ください。
クレンジングはバーム派の私。韓国コスメやアメリカのドラッグストアコスメ、ちょっと高価なオーガニックブランドのものなど色々試してどれも好きだった。
その中で、パッケージにおいて最も優れているのザ・ボディ・ショップのクレンジング・バター。日本や他の国でも手に入りやすいよね。
シンプルな作りのアルミ缶なので、スティッカーさえ剥がせばリサイクルしやすい。
人差し指でちょっとすくった量でウォータープルーフのマスカラもファンデーションもリップも全て落ちるので、ほぼ毎日使っていて一つで2ヶ月ほど持つところもいい。
※ このクレンジングバターはヴィーガンですが、ザ・ボディ・ショップにはヴィーガンではない商品もあります。ザ・ボディ・ショップ のヴィーガン商品一覧(アメリカ版)はこちら。
TRADER JOE’S, ACAI FACIAL SCRUB
アメリカのスーパーマーケット Trader Joe’s(トレーダー ジョーズ)はオリジナルのスキンケア、ボディケア、ヘアケアも作っている。ほとんどが$10以下でプチプラだよ。
一時期インスタグラムで話題になったこのフェイス・スクラブは、ガラスのジャーに入っている。
ブルーベリー ピュレとアサイーの甘い香り。スクラブという名の通りブルーベリーの種が余分な角質を落としてくれるんだけど、つぶつぶ感自体は結構控えめ。
実は配合された水溶性のピーリング成分 AHA がスクラブと一緒になって肌のターンオーバーを促してくれるアイテム。週2-3回の使用が推奨されているよ。
MEOW MEOW TWEET, BAKING SODA FREE DEODORANT CREAM
猫好きもびっくりのブランド名!Meow Meow Tweet(ミャオ ミャオ ツイート)のアルミニウムとベーキングソーダ不使用のナチュラルデオドラントはクリームタイプ。ガラスのジャーを使用しジャムのようにアルミの蓋の容器に入っている。指でのアプリケーションは最初は違和感があったけれど、慣れればかえってしっかりつけられているのを感じられていい。
マグネシウムとアロールート(クズウコンの根)が汗の匂いをコントロールし、オーガニックのエッセンシャルオイルがフレッシュな香りを足し、そしてシアバターが肌を整えてくれる。とはいえこちらはあくまでデオドラント(匂いを抑えるもの)で制汗剤ではないので、すごく汗かきの人には物足りないかも。
このブランドはスキンケア アイテムもたくさん揃っていて、どれもパッケージはグラスや紙やアルミ素材。ブルックリンの Package Free Shop ではフェイスオイルなどのリフィルもできてお得になるみたいなので、次にスキンケアを買う時には試してみたい。
コスメにおけるプラスチックフリーの難しさ
マスカラ
人によってはプラスチックフリーで選ぶのがかなり難しいカテゴリーもあると思う。私にとってそれはマスカラ。単純に、プラスチックパッケージではないものが圧倒的に少ないから。(とはいえ、マスカラは塗りたい!)
挑戦したことはないけれど、先述の Kjaer Weis はマスカラもリフィルを実現していて、あとは Besame Cosmetics にはアルミ缶に入っていてブラシでつけるケーキタイプのマスカラがある。
私はマスカラは一般的なプラスチックのものを買っている。使用後は Wands for Wildlife という非営利団体に洗浄した使用済みのマスカラブラシを寄付。野生動物の体をきれいにするのに役に立つそうだ。
最近は寄付が増えているようで、2月と10月にのみ発送を受け付けている。使用済みのマスカラブラシを溜めておき、あとは周りにも声をかけて、まとめて送るようにしている。最終的にはゴミになってしまうけれど、せめてその前にもう一つ使い道があるのはいいよね。
シャンプー
ガラスやアルミはなかなか見つからず、当たり前のようにプラスチックパッケージのシャンプーを使ってきた。でも最近シャンプーバー(固形シャンプー)を少しずつ試している。これ!というお気に入りは見つかっていないんだけど、やはり従来のボトル入りよりはいいなと思う点が多い。
- 紙のラッピングのものが主流なので、プラスチックパッケージを避けられる
- お店によっては個包装なしの完全なパッケージフリーもあり
- 一般的なシャンプーのボトルの中身は水が主成分(持っているシャンプーボトルの裏を見てみて!一番上に書かれているのはおそらく水だよ)なのに対して、シャンプーバーは自分で水を足して泡立てていくので、一個のバーでかなり持つのに驚くし節約になる
- 缶などに入れて旅行に持って行きやすい
私は頭皮が多分オイリーな気がして、冬は4-5日に1回、夏は3日に1回くらい髪を洗う。そもそも、昔は毎日髪を洗っていたのを考えると、それだけでも水とシャンプーの使用を減らすことができる。
「部分的プラスチック」の問題
プラスチックフリーと紹介したけれど、今回登場したガラス容器には、実は蓋や中のポンプにプラスチックが使われているものがある(ごめんなさい!)。
無駄にしない提案としては、容器そのものを洗浄してとっておくとDIYマスクやクリームを作る方は入れものとして使えるし、ペーパークリップやら何やら細々したものを整理するのにガラスのジャーは結構役に立つ。口にするものを入れるのにはオススメしないけれど、しっかり洗浄すれば再利用の幅は広い。そのためにも、最初からできるだけミニマルなデザインのものを選ぶ方がいいんじゃないかな。
プロに頼むリサイクル
容器の素材はなんであれ、アメリカ在住でコスメを使い切った際にできるもう一つの提案は、クリーンビューティのお店である Credo Beauty に空容器を持っていくこと。
Credo Beauty によると、コスメの容器は複雑な作りなものが多くリサイクルが困難なケースが多く、そしてプロダクトによっては hazardous waste(危険廃棄物)とみなされリサイクルが違法になる場合もあるとか。
Credo Beauty は TerraCycle という環境に配慮したリサイクル・プログラムと提携して、持ち込まれたパッケージを有効的にリサイクル処理してくれる。おまけに、持ち込むごとにメンバーシップのポイントももらえるよ。しっかり洗浄して、お近くに Credo Beauty のお店がある方は持って行ってみてね。Credo Beauty で買ったものでなくても受け付けてくれるよ。他の国でもこういったサービスはあるのかな?
2020年3月追記
日本のコスメキッチンで、テラサイクルジャパンと協同したパッケージのリサイクル回収サービスが始まりました。リサイクルキッチンについて、詳しくはこちら。
最後に
ここに紹介しているプロダクトは私のお気に入りというだけで他にもいいものはいっぱいあるはず。プラスチックフリー コスメに興味があったり調べている方に、こういったパッケージやアイデアがあるということが伝われば嬉しい。
プラスチックはここのところめっきり嫌われ者だけれど、実際お手元にはプラスチックパッケージのコスメがある方も多いと思う。(私も・・・。)これからも、正直コスメを完全にプラスチックフリーにするのはすごく難しいとも思う。
プラスチックパッケージのものは、ルールに沿ったリサイクルの実行や、TerraCycle のようにリサイクルを助けてくれるサービスの利用を強くオススメします。