Hello! COOKIEHEAD の夫の Harry です。
昨夏に第1回をお届けした、「Harry のブルワリー・ジャーナル」を覚えている人はいるかな。ニューヨークのブルックリンを中心にローカルでユニークなブルワリー(ビール醸造所)の情報を発信するシリーズは、クラフトビール大好きな僕の担当。 ※日本語文章は COOKIEHEAD による
更新できていないままどんどん時間が経ってしまって、そして COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によって状況は大きく変わってしまった。連載のはずが1回で終わり?といった状態になっていたけれど、今回、僕たちが住む地元であるブルックリンのグリーンポイントにあるローカルブルワリーである、 Greenpoint Beer & Ale Co. を取り上げることにしたよ。
とはいえ、残念ながら、今はバーなどの店内営業を休止中。実はこのブルワリー、3月中旬にニューヨークが外出禁止令を出す少し前に、グリーンポイント内で場所を移転して1年半ぶりに再オープンしたばかりだった。夏の楽しみができたと思っていた矢先のこと。
今回は、3月頭に訪れた際の様子と、営業中止中に彼らが僕たちにどうやってビールを届けてくれているかも合わせて紹介するね。ニューヨークローカルのクラフトビールコミュニティが助け合っているよ。
Greenpoint Beer & Ale Co.
https://www.greenpointbeer.com/
以前のロケーションにオープンした時に出た、2014年の edible Brooklyn の記事によると、Greenpoint Beer & Ale は、ノースカロライナのブルワリー出身の Chris Prout と、自宅でビール醸造をしていた Erik Olsen によるプロジェクト。
2人とも、近隣にあるビールや食品を販売するローカルショップ、Brouwerij Lane で働いていたよう。この Brouwerij Lane の創業者 Ed Raven は北ブルックリンのビールカルチャーにおいて重要な人物。彼は80年代に日本でも有名なウィリアムズバーグの Brooklyn Brewery でセールスマンをした後、自分でビールの輸入業を始めた。Ed と近くでビールビジネスをしてきた Chris と Erik のブルワリー、とてもローカルなルーツを感じる。
当初のロケーションはグリーンポイント南西のエリア、元々工場だった建物に手を施して始めたもの。しかしブルックリン不動産事情にありがちなオーナーとの問題で、2018年に惜しまれつつクローズ。そして同じグリーンポイントの中でも北の方に、2020年2月にカムバックを果たした。しかも新しい敷地では以前の4倍の醸造キャパシティがあるそう。
パンデミックが訪れた2020年4月現在、ウェブサイトによると、彼らはドラフト2種、缶4種のビールを展開している。3月に訪れた時は、ドラフトは7種から選ぶことができた。
店内は荒削りな感じで、武骨なビアバーといった雰囲気。前回の Grimm みたいなスタイリッシュさはないけれど、僕はこういう方が落ち着くから好きだったりもする。幼なじみの男友達と飲みに行く時は特に。
ピンボールマシーンもあるしね。懐かしい。
では、また僕が飲んだビールのレビューをしていくよ。
Harry のビールレビュー基準
好きなビール
– ベルギーのダークエール
– ベルギーのペールエール
– アメリカのアンバーエール
– アメリカのブロンドエール
大事なポイント
– 重さとフレイバーのバランス
– 口当たり
– クリエイティビティ
1杯目
Can We Still Be Friends? | Hazy Pale Ale | 5.2%
口に入れた瞬間に感じる苦味はすぐに消えて、むしろスムースでほんのりした甘さで終わる。爽やかですっきりした標準的なペールエールを想像していたけれど、いい意味で裏切る奥の深さがあった。
Harry のお気に入り度: ★★★★★
2杯目
Goon Squad | Foreign Extra Stout |7.2%
とてもなめらか。スタウトならではのお腹にたまる重さや高度アルコールは感じなかった。スモーキーさが舌に残る感じが好み。多様な原料を組み合わせているので複雑な風味を期待していたけれど、実際に気付けたのはエスプレッソだけだった。
Harry のお気に入り度: ★★★★☆
3杯目
Greenpoint Lekker | Pilsner | 4.9%
軽めの飲み口。ピルズナーとはいえ、僕の好みの域を超えるクセのある苦さが気になった上に、後味もなんだかいつまでも残る感じだった。
Harry のお気に入り度: ★★☆☆☆
フードは極めてシンプルな、いわゆるバーフード的なラインアップ。僕たちは大きな自家製ソフトプレッツェルをオーダー。王道なんだけど、香りがよくふかふかした正統派の美味しさ。
比較として隣に、日本の500円玉くらいの大きさのクォーター(25セント硬貨)を置いてみたよ。おやつとしてCOOKIEHEAD と分けっこして、十分お腹いっぱいになった。
ちなみにこの建物にはルーフトップ(屋上)がある。
まだ3月で肌寒く、ルーフトップバーは閉まっていたけれど、室内のバーで買ったビールやフードを持って上がることができた。大きなグリーンのウォータータンクのようなデザインのオブジェは、以前のロケーションの時からあった Greenpoint Brewery のシンボル。
暖かくなったら気持ちいいだろうな
・・・と思っていたら、その後あっという間にバーの営業は無期限でお休みに。ニュースなどで知っている人も多いだろうけど、ニューヨークの COVID-19 の影響は甚大で、外出禁止や必須ではないビジネスの営業禁止の長期化が見込まれている。
Greenpoint Brewery は間違いなく、地元型のスモールビジネス。そしてニューヨークには、似たような小さなブルワリーがたくさんある。この街で生まれ育った僕は、ローカルなクラフトビールが大好きなので、今のような困難な時もできるだけコミュニティをサポートして、このパンデミックで失われるものが最小限で収まって欲しい。
そんな最中 Greenpoint Brewery は、週末限定で、自社ブランドのドラフトと缶ビール、そしてニューヨーク各地のローカルブルワリーの缶ビールも集めて店頭販売を始めた。
びっくりするほどの品揃え。散歩がてら、行ってきたよ。
ソーシャルディスタンス(2メートルの社会的距離)を守りながら客が流れていけるよう、ビールが陳列されているテーブルはルートになるよう並べられている。
前回の Grimm を発見。
僕は、持って行った自前の32ozのグラウラー(写真右、ビールを持ち帰りできる大きなガラスの容器)で Greenpoint Brewery のドラフトを、そしておこもり生活用に他のブルワリーの缶ビールを購入した。
ちなみにグラウラーは量り売りでパッケージフリーなので、最もエコなビールの買い方だよ。僕も、妻の影響もあって、できるだけ資源の利用を減らす取り組みをしている!
初めて試した3種類のニューヨークローカルのクラフトビールも、簡単にレビューしてみるね。
1: Decadent Ales: Orange Cream Pop | India pale ale with vanilla extract and orange puree | 6%
https://www.decadentales.com/cans
ニューヨークアップステート、ママロネック発
アメリカのアイスキャンディ、オレンジクリームシクルにインスパイアされたビール。チョコレートやフルーツなど甘いものを表現しているクラフトビールは色々試してきた中で、これはすごくバランスがよかった。ちょうどいいバニラ風味と甘過ぎないオレンジシャーベットのフレイバーが、ビールの苦味を程よく引き立てていた。
Harry のお気に入り度: ★★★★☆
2: Torch & Crown Brewing Company: Magnetic Energy | bright, fresh pale ale with mild citrus character and a crackery malt backbone | 5.5%
https://www.torchandcrown.com/beer-delivery/magnetic-energy
マンハッタン、ソーホー発
ビール界で活躍する女性たちをフィーチャーするプロジェクトの一環として、国際女性デーを記念して作られたビール(そして国際女性デーは実は僕の誕生日でもある)。苦味もあるけれど飲みやすくてバランスがよかった。どこか自然や大地を感じさせるフレイバーで、初めての感覚。もう一度飲みたいな。
Harry のお気に入り度: ★★★★☆
3: Kings County Brewers Collective: SUPERHERO SIDEKICKS – Hazy IPA | malt based IPA with ripe oranges, fresh pineapple and smooth pine | 6.9%
https://www.kcbcstore.com/product/superhero-sidekicks-hazy-ipa/
ブルックリン、イースト・ウィリアムズバーグ発
平均点のビール。美味しかったし満足だけど、これという感動ポイントはなかったかな。個性溢れるクラフトビールがたくさんある中で、極めて地味な存在という印象を受けた。
Harry のお気に入り度: ★★★☆☆
総合評価
まさに住んでいる地域のクラフトビールブランドとして貴重な存在。通常時ならイベントやチャリティなどもよく行っていて、グリーンポイントを盛り上げてくれる。この困難の時でもスタッフはフレンドリーで、そしてニューヨークのローカルブルワリーをサポートしている絆は素晴らしい。
友達の家のガレージを訪れるような感覚や、屋上の開放感もいいよね。
肝心のビールは、美味しいし好きなんだけど、個人的にはバリエーション的にもフレイバー的にも、すごくそそられるというわけではない。とはいえ、地元のブルワリーとして繋がりはすごく感じているしこれからももちろん応援していきたい。
また行きたい度: ★★★★☆
Greenpoint Beer & Ale Co.
https://www.greenpointbeer.com/
1150 Manhattan Avenue, Brooklyn, NY 11222
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