この記事は英語でも読めます。メニューにある Switch to EN ボタンを押してください。
This article is also available in English. Please hit the Switch to EN button in the menu.
THE LITTLE WHIM は、今回取り上げる Pink Moon とアフィリエイトパートナーシップを結んでいます。参加しているアフィリエイトプログラムは、独自のコード【thelittlewhim】を利用した購入があった際に、THE LITTLE WHIM にコミッションが入るのではなく、THE LITTLE WHIM が選ぶ慈善団体に合計額の10%が寄付されます。このアフィリエイトと選んだチャリティについては、記事後半で詳しく触れています。商品は贈られたものですが、レビューは運営者の正直なものです。
私はシスジェンダー(※)の女性で、日本生まれの日本育ち。両親ともに日本人。母国語は日本語。高野豆腐と切り干し大根が好きで、昔も今もハローキティは身近な存在だ。
※生物学的性とジェンダー自認が一致していること
そして、ニューヨークで暮らして丸7年が経った。英語で、専門分野を学び、働き、生活する。ニューヨーク出身の、イタリアとキプロスにルーツを持つアメリカ人男性と結婚し、この街の多様性の中で生きている。
日本人女性の私は、いつの間にか、ニューヨーク在住日本人女性になった。書類上は移民だが、日常的な会話で自分を移民と呼ぶことはあまりない。ただシンプルに、「ニューヨーク在住」の事実が、私のアイデンティティにおいて果たす役割は、省略できない大きさになった。
特に海外に身を移したばかりだと、新しい土地での自己のアイデンティティを強く意識する気がする -(こはずかしい表現だけれど)自分探しの一部のような。少なくとも私は、最初の数年はそうだった。日本人の自分が溶けていき、別のものの中にマーブル模様を作りながら混ざってしまうかのように感じたから。しかしその生活も長くなるにつれて、周りに対する自分の異物感は薄れていった。私のアイデンティティは、この街のことを知れば知るほど、周りとなじみながらも独立する、自然なものになった… と思っていた。
さてさて、今日はスキンケアの話なのだけれど、アイデンティティについて話したい気持ちも大きな後押しになっている。最近出会ったビューティのコンセプトから、久しぶりに自分自身について考えるきっかけをもらったのだ。ニューヨークで自己を確立したと思っていたけれど、時に自分のアイデンティティを置き去りにしていたこともあるかもしれない、と感じた。
Pink Moon と出会って…
その気づきをくれた Pink Moon は、カリフォルニア出身でニューヨーク在住の中国系アメリカ人女性、Lin が立ち上げた、ビューティ・ウェルネスのお店。現在はオンラインストアのみだが、ニューヨークシティに実店舗のオープンも控えている。Lin は、ホリスティックでシンプルなセルフケアブランドを厳選している。クルエルティフリー(※1)でパームオイルフリー(※2)のポリシーを持ち、扱う商品は一部を除きほとんどがヴィーガン(※3)。オーガニックなものも多い。
※1 動物実験をしていない
※2 熱帯雨林減少の要因の一つと言われているパーム油を不使用
※3 動物由来成分を不使用
彼女は、同じく Pink Moon の名で、オリジナルのスキンケアブランドも立ち上げている。今回その中から、Over the Moon Duo を試させてもらった。このセットに含まれているのは、Lunar Drops Gua Sha Facial Oil というオイルと、Rose Quartz Gua Sha Facial Tool というローズクオーツでできたリンパの流れを促すマッサージツール、グアシャ(日本ではカッサかな?)の2つ。
Lunar Drops は、オーガニックサンフラワーオイル、オーガニックモリンガシードオイル、オーガニックネロリオイル、オーガニックローズオイル、パルマローザオイル、そしてサンダルウッドオイルの調合。余計なものを省いたプラントベースの潤いが、小さなボトルに詰まっている。超少量生産で、手作業で作られているそう。
私はオイルのスキンケアが大好き。Lunar Drops は、シンプルな処方ながら、いや、シンプルな処方だからこそかな、肌へのなじみが心地よい。まるで、肌と一緒になりたい!と言っているかのよう。すっかり秋真っ盛りモードに突入した乾いたニューヨークで、過不足のないちょうどいい優しさと潤いをくれる。
目にしたことはあったけれど、グアシャを使ったのは初めて。肌をこすることがないよう気をつけながら、付属のインストラクションを見ながら慣れないマッサージをする。MacBook や iPad Pro の小さな画面と向き合っている時間が長い私の凝り固まった顔と首に、ほどよい圧力とリラックスを与える。Lunar Drops のほのかな柔らかい香りと相まって、自分のために手を動かす一日の終わりの時間が豊かになる。
アメリカのビューティの世界での
女性&アジア系へのリスペクト
Lin は、私に興味深い話をしてくれた。彼女が目指しているセルフケアは、ナチュラルでホリスティックで、地球や動物や人に優しいだけではない。Pink Moon は、扱うブランドは全て女性が立ち上げたもので、その中には、彼女のオリジナルを含めアジア系が多数ある。
Lin が最初に声をかけてくれてた時のメールから言葉を借りる。
[アメリカの] ビューティの世界で、アジア系は充分に受け入れられていない。Kビューティ(韓国コスメ)の人気はあるものの、そこで止まっている感じ。アジア系の不在は、サステナブルビューティにおいては特に顕著。だから私は、女性によるビジネスであることは絶対で、アジア系も意識してブランドは厳選している。
読んだ私は、はっとした。女性によるビジネス… アジア系… ニューヨークを拠点にしている私は、この2つの要素をビューティにおいて意識していただろうか?女性であることとアメリカで暮らすアジア系であることへのリスペクトを、その張本人の一人である私が払わなかったら、元も子もない。
とはいえ、女性やアジア系という部分が後回しになってしまっていたのには、理由がある。まさに Lin が言うように、これらの要素はアメリカのビューティの世界ではまだまだ弱いからだ。例えばビューティビジネスにおける女性の立ち位置。特筆されている場合を除き、一般的にビューティの主力ターゲットは(ジェンダー自認が)女性の層だ。しかしアメリカのビューティ業界は、ほかに比べたら男女のバランスがいい傾向があるとはいえ、管理職レベルでは女性は約30%で、男性が依然として優位。
参考記事: “Men Are Dominating Industries Aimed At Women—Here’s What To Do About It” (girlboss)
その中で、女性である上にさらにアジア系でビューティを代表する存在と考えた際に頭に浮かぶのは、アメリカのコンデナスト系ビューティマガジン Allure の編集長、Michelle Lee。彼女自身、アジア系の背景を持つ女性である。2018年に、Soojoo Park、Fei Fei Sun、そして Fernanda Ly の3人のアジア系女性を表紙に起用した。その際に発表したオープンレターでは、Michelle は、28年の歴史を持ち327号出版した中で、アジア系女性が同雑誌の表紙になったのは2回しかなかったことに触れている。この2018年のアジア系モデル起用は、実に18年ぶりだったそうだ。
ふと思い出した。メディアでのリプレゼンテーションの不十分さがある中、私が育った日本では、化粧品において「日本人の肌/髪に合う」といったコンセプトが好まれる。欧米発の外資系の化粧品会社ですらも、「アジア限定発売」や「日本人に合わせた開発」といったアジアや日本の市場に向けた商品を発表している。私たちは自分たちのことを考えて作られたビューティを欲しているのだ。
私には、環境や倫理の観点から、化粧品を選ぶ上で優先する項目がすでにいくつもある。ヴィーガン & クルエルティフリーで、ローカル(少なくともアメリカ国内のもの)で、原料や製造、輸送やパッケージにおいて可能な限りサステナブルな配慮がされていて・・・という目線でプロダクトやブランド選びをしてきた。そこに注力し、「ニューヨーク在住の日本人女性」という自分のアイデンティティを後回しにする内に、気づけば完全に置き去りにしていた。私と同じようなフィロソフィーでビューティを考えているアメリカ在住の日本人・アジア系女性には、同じように妥協してきた方もいるのではないかな。
Lin、そして Pink Moon の存在は、それに気づかせてくれた。そして、アジア系女性が作るサステナブルでクリーンなセルフケアを、「私たち」のために作り、届けてくれる。それはまさに、「地球と動物と人を考える、ニューヨーク在住の日本人女性」である私が属する、「私たち」のセルフケアのコミュニティと言える。そうゆう場所もあるのだ。
地球と動物と人を考える、
ニューヨーク在住の日本人女性
アフィリエイトとしてできること
アフィリエイトの話をした際、私にできる小さな思いやりを形にしてくれる Lin の提案も嬉しかった。もし購入者が私のコード【thelittlewhim】を利用してくれた場合、私のポケットにコミッションが入るのではなく、私が選ぶ慈善団体に合計額の10%が寄付される。
私は、自分の住むコミュニティであるブルックリンを拠点にする、ストリートキャットの保護・里親探し、TNR(※)、ファンドレイジング、提唱活動などをしている、 Brooklyn Animal Action を選んだ。ボランディアで成り立つ彼らのミッションは、「苦痛の中にいるストリートキャットの生活を改善すること」。
※ T=Trap(つかまえる)N=Neuter(不妊・去勢手術する)R=Return(元の場所に戻す)の頭文字。こちらの説明がわかりやすいです→「TNRとは」(公益財団法人 どうぶつ基金)
人に飼われる生態になっている多数の猫たちが、さまざまな理由から外に放たれ、危険の多い都市の路上で暮らしている。彼らは増え続けている。それは、怪我をしたり病気を患ったり、命を落としたり殺処分される猫が増えていることでもある。その、人が作り出した世界で生き延びる猫たちの胸が痛む現状に立ち向かうブルックリンのローカル団体が、Brooklyn Animal Action だ。
少し前に、彼らを取り上げたドキュメンタリー映画 “The Cat Rescuers” を観た。大都会ニューヨークの路上に住むストリートキャットたちのために動くボランティアたちの大量の感情が描かれており、喜びと悲しみの終わりないループが見え、正直それに圧倒された。「私にはこれができるほどの強さがない」と感じたその活動をしているボランティアのほとんどは、女性だった。Pink Moon のアフィリエイトを通した寄付の話を聞き、彼らの団体が一番に頭に浮かんだ。
Lin から、「thelittlewhim のコードの認可がおりたよ!」と連絡がきた際、ものすごく嬉しかった。THE LITTLE WHIM の名そのままのコードが、思いやりを広げてくれるまるで魔法の言葉になるようで…。
スキンケアとアイデンティティ
私は、地球と動物と人を考える、ニューヨーク在住の日本人女性。私が私らしくあることをリスペクトするセルフケアで、自分のアイデンティティをあらためて認識する。そして、その自分のアイデンティティが強く共鳴する、多くが女性で構成される動物のための活動団体の支援ができるのなら、それはこの上なくありがたいことだ。
自分が自分であることは、自らが認知するだけではない。自分を取り巻く環境の中で、自分と他の関係性を意識し、そこから自身の存在に意義を持たせることでもあるのかな。そういう機会があることで気づく自分のアイデンティティが投影する自分は、いつもよりちょっと高く顔をあげた、姿勢のいい姿かもしれない。
ビューティやセルフケアは、自分の価値観の表れであり、自らの労いでもある。そして、自分の周りのほかへの意識や思いやりともつないでもくれるんだ。そんなことを考えながらスキンケアをして、今夜はぐっすり眠ろう。
この記事は英語でも読めます。メニューにある Switch to EN ボタンを押してください。
This article is also available in English. Please hit the Switch to EN button in the menu.