オレンジの皮で掃除をしたら、私のサステナ生活で改善すべきことが見えた

2ヶ月に及ぶ自主隔離生活を送る中で、なんだかやたらと目につくようになったのは、埃や水垢など、家のいろんなところの角っこにある汚いもの。日中の明るい日差しを浴びる部屋に長くいるもんだから、ここのところ完全にメガネっこの私のレンズ越しに、どうも見えてしまう。

私は、きれい好きの掃除嫌いという矛盾を抱えている。私が出会い結婚した人は、掃除が嫌いではないようなので、かつての日々では週末に彼が掃除していた。

今はどうだ。夫はベッドルームを、私はリビングルームを仕事場にしていて、私の方が広く、汚れが目立つ場所で時間を過ごしている上に、空き時間も彼に比べて圧倒的に多い。掃除は嫌いだけど、汚いのはいやだという葛藤の末、後者が勝つ。ということで、私も以前より積極的に家の掃除をするようになった。

クリーナー類を収納している棚を見てみたら、”vegan”(動物性不使用)、”cruelty-free”(動物実験がされていない)、”biodegradable” (生分解可能)、”recyclable”(リサイクル可能)といった言葉がパッケージに見られた。特別な場所に行かなくても買いやすいブランドだけれど、従来の一般大手メーカーの製品よりは「比較的ベター」なものが揃っていた。夫が買うことも多いのだけど、「そうゆうの」を選んでいるのだろう。

私は料理担当で毎日自炊をするので、キッチンは自らかなり頻繁に掃除するようになった。そしてふと考えた – キッチンの汚れのほとんどは、私たちが食べるものから来ている。動物性を摂らない私たちの場合は、汚れの大部分は植物性のものプラス油分でできている。家にあったクリーナーには化学成分が入っているようだけれど、それはきれいにする上に、余計なものを、安全であるべきキッチンに残していっているのではないか?と疑問を感じた。そして、それは水と一緒に排水口に入って行く

分厚いプラスチックでできた大きな容器で、アメリカでは既製品のクリーナーの詰め替えも一般的ではないので、使い切りなのも気になる

ゼロウェイストの先輩方が YouTube やインスタでよく紹介している、DIY ナチュラルクリーナーが頭をよぎる。実は以前、お酢と重曹で作るクリーナーは何度か挑戦したことがあった。シンク周りはきれいになるし使い心地に全く不満はなかったのだけれど、問題は・・・くっさ!というところ。特に我が家はキッチンとリビングに区切りがないので、掃除した後お酢の匂いの中リビングでくつろぐハメになる。

そこで思い出したのが、コレ。

オレンジやみかんの皮をお酢(ホワイトビネガー)に2週間ほど漬けたもの。

フルーティでフレッシュな香りでお酢っぽさは抑えられる上に、柑橘類の皮には油分を取り除く効果もある

夫も私も、オレンジやみかんは大好きなので、皮は出る。以前ナチュラルクリーナー用に買ったホワイトビネガーもある。生ゴミとして皮をコンポストする前に、早速作ってみた。

これが私はいたく気に入った。シンクの水垢やレンジ周りの汚れがするすると落ちる。ホワイトビネガーはオーガニックで買っても比較的安価なお酢、オレンジの皮は元々出るものだし、私は水で希釈して使っているので、ものすごく節約にもなる。容器は夫の実家にあったガラス瓶を再利用している。そして、猫にも安全。

「ああ、なんでもっと早く試さなかったんだろう。」

だいたい、私のサステナジャーニーやゼロウェイストチャレンジはいつもそう。まわり道や寄り道だらけ。

waybetter

地球環境を考えたり、自分の生活を見つめ直した時に、”conventional”、つまりは「従来の」ものよりは “slightly better”、「ちょっとだけマシな」ものを選ぶことから始まる。もちろん、これが無意味だとは思わない。でも、”conventional” → “slightly better” に移行することで生まれる改善は、すごく小さいことも多い。その少し先に、”way better”(ずっといい)があるのにも関わらず。

2年もサステナビリティについて考えてきても、未だにそうゆうところがある。

段階的に進むことはとても大事。いきなり何もかもを変えるのは難しいし、環境にかえって負荷を与えてしまう可能性もある。自分のリズムで、最も無駄とストレスのない方法で移行していくのが望ましい。・・・とはいえ。せっかく変える際に、“slightly better” が “conventional” より本当にどれくらいベターなのか気をつけて見てみること、それよりもっと意味のある手段がないかを探し、その “way better” に飛び級できるかを考えることも必要だと思うようになった。

以前、サステナブル・ライフスタイルを目指す上で気にかけている5つのこと という記事では「ゆっくりいこう!」と書いたんだけど、核心のマインドセットの部分はそのままに、進め方がちょっと変わってきた感じかな。

残念なことに、いわゆるグリーンウォッシング(greenwashing: 環境に優しい取り組みをしているように見せかけて実際にその計画には抜け穴があったり、誤解を招くマーケティングだったりする企業活動)は、”slightly better” の範囲内に潜んでいる可能性が高い。悪意があるなしに関わらず、だ。だって、「ちょっとだけマシな」オプションなんだもん、そりゃ、つついたら色々ボロが出るのも仕方がない。

具体的には – 例えば最近はいろんな「ちょっとだけマシな」プラスチックを目にする。石油を利用せず植物由来のものや再利用素材でできたものは、製造において、二酸化酸素排出量やリソースの選び方という点で環境負荷が少ない場合がある。しかし、捨てる時のことを考えると、疑問が残る。

参考記事:
Why Biodegradables Won’t Solve the Plastic Crisis? (BBC)
Plastic Alternatives May Worsen Marine Pollution, MPs Warn (The Guardian)

“biodegradable” (生分解可能)は、まやかしに近い部分がる。なんであれほとんどの物質はいずれは(自然)分解するので、このレーベルをつけることができてしまう・・・例え分解に何十年掛かろうとも。掛かる期間の記載は現時点で必須ではない。

“compostable”(堆肥化可能)は、実際に堆肥化を可能にする専門的環境で処理されないと、かえって分解には長く時間が掛かってしまうものもあるらしい。

“recyclable”(リサイクル可能)も、現実的にリサイクルできる素材であっても、実際に正しい分別をし、正しい処理場に送られない限りは、結果は埋立地行きの場合もあることは広く知られているだろう。

こういった、新しいプラスチックや技術の流行にともない、問題点を指摘し警鐘する記事は多い。私は専門知識があるわけではないので、”slightly better” の、書いてある以上の実際のところはわからない。だからといって、”conventional” に戻る理由にもならない。

だったら、”conventional” も “slightly better” も、どちらも避けよう。それが、最も後悔がない。従来のクリーナーよりも、ちょっとだけマシなクリーナーよりも、コンポストに出す前の生ゴミを活用し、化学成分とは無縁で、家にある容器を活用するなら、”way better” だよね。しかもやってみたら、簡単で快適だった。


オレンジの皮で掃除をしたら、私の今の生活改善の進め方における問題点が見えた。それによって、今後無駄なステップを踏むことを少しずつ避けていけると思うし、前向きになった。

じっくりでいいと思っていたけれど、今年の日本のオーバーシュートデーは5月12日だったというのを聞いて、うかうかしたことも言ってもいられない。自分にできること、せっかく実行するなら、効果をあげてこ。

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