ビューティにおけるサステナビリティを意識してはいるけれど、難しさもある。私の場合、ヴィーガン(動物由来の成分は含まない)& クルエルティフリー(動物実験をしていない)は大前提。サプライチェーンや企業運営・理念のエシカルさも可能な範囲で気にかけている。… しかしゴミや無駄をなくすこととなると、まだまだ模索中。プラスチックフリーパッケージや、最後まで使い切ることの重視などを進めている。
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そんな中、ほぼ完全なゼロウェイストへの切り替えがいたってスムースに運んだカテゴリーもある… それは、シャンプー。
ここ1年半くらい、固形石鹸のような見た目のシャンプーバーを愛用するようになり、ボトル入りのものは買わなくなった。使い勝手や洗い心地は従来のものとは異なるけれど、それはシャンプーする行為そのものの考え方を変えることで慣れた気がする。
シャンプーバーに抵抗がある方や、使ってみたけれどあまりしっくりこなかった方、一緒にもう一度考えてみませんか?
<私は、こういったライフスタイル上のチョイスは個人の倫理にしたがうものとして尊重しています。しかし、なにかの劇的な解決策かというと迷いがあります。そのあたりについては、以下の記事から。>
「色気のないもの」から取り組む
私の中で、ビューティにおいて無駄を削ぎ落とす取り組みにおいて、一つの基準がある – 「色気のないもの」から率先してゼロウェイストにしていこう
人によってさまざまだと思うけれど、同じビューティでも、ワクワクするカテゴリーとそうでもないものってない?たとえばメイクアップやスキンケアに比べて、お風呂場で使うものは、私にとって色気のないもの。ビジュアル的なブランディングや大げさな付加価値は求めていない。なので、まずは洗顔料やボディソープを固形石鹸に変え、続いてシャンプーバーも試した。
完全パッケージフリーのお店ではそのまま売っているし、そういった場所にアクセスがなくても、プラスチックフリーの超簡易包装が見つかりやすい。お風呂場にそれなりの期間居座ってぬめっとしたボトルを、使い切ったあと洗ってリサイクルやゴミに出す必要がない。シャンプーの中身の主要成分であることが多い水分を(大幅に)省き濃縮した固形タイプのシャンプーは、プラスチック容器を避ける上でめちゃくちゃ理にかなっている。ボトルが乱立することがなくお風呂場がすっきり。
ゼロウェイストってそもそも地味で色っぽさのないムーブメントだと思っているので、私にとっては色気のないアイテムであるシャンプーにそれを適応すると、整合性がとれて無駄がないすっきりしたシステムになる。
あとは、ボトルデザインが素敵とか、お風呂場のビジュアルに合う、などの要素もシャンプーのチョイスに影響することがあるかもしれないけれど、固形石鹸ほどお風呂場にしっくりくるものはなかなかないのでは。
「頭皮を洗う」を意識する
私の髪は、時々乾燥が気になるのを除けば特に悩みはない、ストレートの黒髪。10代の頃から、周りの友人たちがこぞって髪色を明るくしている中、黒髪一辺倒だった。自分の生まれ持った髪色だったのに、かえって目立っていたくらい。数年前、髪の内側をブリーチしていた頃(人生で一度きり)を除き、基本的にカラーリングやパーマの経験がなく、傷みにくい健康な髪。
なので、どんなシャンプーを選んでもそこそこ満足していた。その中で、シャンプーバーに切り替える前は、強い洗浄成分や界面活性剤、シリコンなどが含まれていないプロダクトを選ぶようにしていた。
ところが。比較的シンプルなフォーミュラのシャンプーバーを初めて使ってみて驚いたのは、経験したことがないようなギシギシ感。いくらシリコン不配合を気にかけてシャンプーを使っていても、ここまで髪が絡まったことはない!というくらい。んーーー、、シャンプーバー手強いぞ、と思った私は、そこで「シャンプーする」という行為について考え直してみることにした。
「シャンプーする」というと、「髪を洗う」ことだと考えていた。ゆえに、シャンプーには髪のタイプに合わせた種類が揃っていて、ツヤツヤやサラサラなど好みの仕上がりを選ぶ。
しかしプロにシャンプーしてもらう時のことを思い出すと、それはちょっと違う気がしてくる。美容院でのシャンプーは、髪よりずっと頭皮に時間をかけて入念に、何かをほぐすように洗ってくれる。指を使ってじっくり頭全体をマッサージしてくれるようで、リラックスすると同時にすっきりする。髪は、濡らした上で、頭皮を洗うついでのように泡を全体にめぐらせる程度。
あの感じを思い出して、感じた・・「髪を洗う」より「頭皮を洗う」を重視してみよう。
参考記事: The Most Common Mistakes People Make When Shampooing Their Hair (Byrdie)
シャンプーバーで頭皮を中心に洗うようにすると、髪にギシギシは依然残るとはいえ、そこまで気にならなくなった。むしろ、洗顔石鹸やボディ用石鹸が皮膚の汚れを落とすように、シャンプーバーの持つ役割は頭皮の汚れを落とすことだと思うと、髪のツヤツヤやサラサラが倍増することより、頭皮を気持ちよく洗い上げ健康的に保つことの方を重視するように。
洗う頻度を考える
季節やその時どきの予定などにもよるけれど、基本的に私はここ数年、シャンプーするのは週に2-3回のペース。シャンプーで洗わない日にお湯シャンをする方も多いと思うけれど、私の髪は乾くのに時間がかかって面倒なので、洗わない時は濡らすこともしない。
シャンプーバーを使って指の腹を使って頭皮を中心にしっかり時間をかけてマッサージ洗いするようになってからというもの、脂っぽくなったりかゆくなったりということはほとんどない。昔は毎日毎日洗っていたので、不思議なものだ。
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ちなみに我が家は、お風呂場のものは夫と一緒に使っていて、彼は週2回だそう。
使ってみたシャンプーバーをざっくりレビュー
今まで、いくつかのシャンプーバーを試してきた。夫と共有、それぞれ週数回ペースで、髪を含めた頭全体を濡らしたあとシャンプーバーを直接なすりつけるようにして使う。だいたいのものが一つで2.5ヶ月ほど持つ。
選ぶのはもちろんヴィーガン & クルエルティフリーで、パーム油不使用も意識している(パーム油については、以前 IDEAS FOR GOOD にて執筆したこちらの記事を)。SLS(ラウレス硫酸ナトリウム)やシリコンも避けている。続いては、使ったことがあるシャンプーバーの使い心地を覚えている限りでレビュー(アメリカで買いやすいもの中心です)。
Ayurvedic Shampoo Bar
Auromère(オーロメア)
まずはもっとも記憶に新しいこちら – 今まさに使っているもの。実はこのブランドの洗顔石鹸を愛用していて、シャンプーバーも見つけたので購入。
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インドのアーユルヴェーダに基づくブランド Auromère(オーロメア) の運営は北カリフォルニアにあるヨガアシュラム。利益はこのアシュラムと、アメリカとインドのヨガの発展に使われる非営利のプロジェクト。手作業で作られている。
ココナッツオイルとサンフラワーオイルが主成分。そのほかにも、ニームオイル、トゥルシーやヘナといった、(私はなじみがないのだけど…)アーユルヴェーダならではの植物成分も配合されている。一部の原料は遺伝子組み換えなし、オーガニック。パッケージはプラスチックフリーで、すべて分解しやすい素材。あ、ちなみに全身に使える処方なので、旅行(いつかできるようになった暁には…)にこれ1つで行けちゃうかも!
今まで使ったことがあるシャンプーバーの中でももっとも泡立ちがよいので、少量で充分。シャンプーしている感がある。使い続けてもくずれてこない硬めのバー。
しっかり洗えて、そしてしっかりお湯で流れる。若干のきしみはあるけれど、ほかに使ったことがあるものに比べたら控えめ。長持ちしそうだし、夫婦ともに今までで一番お気に入り。
同ブランドの洗顔石鹸同様、どこかスパイシーですっきりする香りが特徴的。とはいえ、よくあるシャンプーのようにいつまでも髪に残るような強い類いのフレグランスではない。取扱情報はこちらから。
洗浄力: ★★★★☆ 泡立ち: ★★★★★ 泡ぎれ: ★★★★☆ | ギシギシ感: ★★☆☆☆ 潤い: ★★★★☆ リピート度: ★★★★★ |
Peppermint & Tea Tree Shampoo Bar
Trader Joe’s(トレーダージョーズ)
在米日本人の間で通称「トレジョ」で親しまれる、アメリカのスーパーマーケット Trader Joe’s(トレーダーズジョーズ)は、オリジナルのパーソナルケアも扱っている。時々出向くのだけれど、夏の終わりにシャンプーバーがあるのを見つけた。いわゆるメインストリームのスーパーマーケット(エシカルな企業運営かという側面は疑問が残る)が、オリジナルでボトルを排除したシャンプーを出していることにときめいた。パンデミックで買い物の回数が限られる中で、この選択肢はありがたい。
オリーブオイル、ココナッツオイル、そしてキャスターオイルが主な原料。頭皮の健康を保つと言われているティーツリーオイルが入っており、保湿としてホホバオイルも配合。紙製の箱にそのまま入っていた。
今使っている Auromère のものの前に使用していて、まだ少し残っている。実はこの Trader Joe’s のシャンプーバーはかなり柔らかくて、残り少なくなってくると溶けたようになってしまった。最後まで使い切りたいので、新しくおろしたシャンプーバーの上に貼り付けている。
※ 化粧品化学の観点から、相性のよくない成分が含まれる場合もあると思うので、このやり方はご自身でご判断ください。
まずまずの泡立ちで、洗い上がりはすっきり。ティーツリーとペパーミント、ユーカリの香りも相まって、気持ち的に爽やか。暑い時期に向いているかもしれない。Trader Joe’s オリジナル商品なので、店舗でのみ購入可能。
洗浄力: ★★★★☆ 泡立ち: ★★★★☆ 泡ぎれ: ★★★★☆ | ギシギシ感: ★★★☆☆ 潤い: ★★★☆☆ リピート度: ★★★☆☆ |
Old Fashioned Shampoo Bar
J.R.Liggett’s(J.R. リジェッツ)
J.R.Liggett’s 公式サイト
iHerb (J.R.Ligget’s)
オールドファッションなパッケージが目を引くこちらは、J.R.Ligget’s(J.R. リジェッツ)。ニューハンプシャーの小さな町で生まれた、昔ながらの製法で石鹸をはじめとしたパーソナルケアプロダクトを作るブランド。
シャンプーバーには6種類のラインナップがある。私が使ったことがあるのは Herbal Formula と Tea Tree & Hemp Oil。遺伝子組み換えなしの自然由来の原料がベースで、あまりいろいろ入っていないシンプルな処方。SLSや石油由来成分も不使用のポリシー。
以前はパーム油を使っていたようで、サイトによっては古い情報が掲載されているのも見かけるけれど、2018年に成分からパーム油由来原料を取り除いたそう。再生紙素材にくるまれただけのシンプルなパッケージ。犬、猫や小動物に向けたシャンプーも固形で販売している。
私が特に気に入ったのは Herbal Formula の方。オリーブオイル、ココナッツオイル、そしてキャスターオイルがベース。ローズマリーはかゆみを抑え育毛を促進、ラベンダーは抗菌や抗湿疹の効能あり、そしてシダーウッドは穏やかな香りと抗炎症効果をもたらすそう。
泡立ちはそこまでよくないけれど、伸びがいいのでそこまで気にならない。しっかり洗い上げ、余計なものを落とした感覚が残る。
洗っている間に漂うのは調和のとれた、どこかで嗅いだことのある万人受けしそうなハーブの香り。取扱店舗情報はこちらで検索可能。
洗浄力: ★★★★★ 泡立ち: ★★★☆☆ 泡ぎれ: ★★★★☆ | ギシギシ感: ★★★☆☆ 潤い: ★★★☆☆ リピート度: ★★★★☆ |
Rosemary Avocado Shampoo Bar
Meow Meow Tweet(ミャオ・ミャオ・ツイート)
大好きな Meow Meow Tweet(ミャオ・ミャオ・ツイート)はニューヨーク発のブランド。ゼロウェイストがコンセプトの一つで、リップバームとデオドラントもここのものを愛用している。
包装はすべて再生紙かガラスで、パッケージフリーをコンセプトにするお店では量り売りの詰め替えサービスも提供している。かわいい猫のイラストは共同創始者によって描かれているそう。成分の多くはオーガニックやフェアトレードの認定を受けている。
応援しているブランドなのでシャンプーバーもワクワクしながら使ったのだけれど、個人的にはそこまで好みではなかった気がする。
泡立ちがほぼなくて、特にシャンプーバーにまだあまり慣れていなかった頃だったのもあり、全体に行き渡っているかがわかりにくかった。ココナッツオイル、オリーブオイル、アボカドオイル、シアバターなどを配合しているそうなのだけど、洗い上がりはキュッキュと音がしそうなほど洗われた感が強く、ギシギシもかなり残った。
一方で夫は、短髪なのできしみはそこまで気にならなかったよう。すっきりした洗い上がりも心地よかったそうなので、好みが分かれた、といったところかな。取扱店舗情報はこちら。
洗浄力: ★★★☆☆ 泡立ち: ★★☆☆☆ 泡ぎれ: ★★★★☆ | ギシギシ感: ★★★★★ 潤い: ★★☆☆☆ リピート度: ★★☆☆☆ |
【番外編】コンディショナーはどうしてる?
最後におまけとして、コンディショナー。シャンプーは頭皮を中心に考えるのに対して、コンディショナーは頭皮と髪のどちらも意識する。実はコンディショナーバーはあまり試したことがないんだけど、気に入ったのを覚えているのはこのブランド。
Moisture Conditioner
HiBar(ハイバー)
形が特徴的な HiBar(ハイバー)。握りやすくて、濡れた手でも滑って落ちたり慌てることがなくていい!サロンクオリティのヘアケアを、シンプルな紙製の包装でプラスチックフリー提供することをミッションとして掲げている。硫酸塩やシリコンは含まない。
使用したのは、ココナッツオイルやカカオバターなどでできている保湿効果が高い Moisture タイプ。これが今までのボトル入りのコンディショナーと引けをとらない使い心地だった。全体になじませてマッサージし、長時間置くことなくすぐ洗い流しても、なめらかな仕上がりに。
ただ、減りがすごく早かったのが気になった。あっという間になくなってしまった記憶…。ちなみに私は、ブルックリンはブシュウィックにあるパッケージフリーのお店 Precycle で購入。取扱店舗は多い。
キャスターオイル(ひまし油)でマッサージ
あとは、きしみが気になる箇所には、以前まつげや眉毛のケアとして紹介したキャスターオイル(ひまし油)で潤いを与えている。頭皮のケアにも向いているようなので、おでこの生え際は避けつつ頭ごとマッサージするのも気持ちいい(ベタベタはするけど)。
色気はいらないから地に足がついたプロダクトを!と求めながらのヘアケア。結果的に、ヴィーガン & クルエルティフリー、パーム油不使用、そしてゼロウェイストが実現できたし、自分が好きなものもわかってきた。とはいえ、オーガニックやフェアトレードの原料はまだ少ないし、コモディティ化しているココナッツやアボカドってどうなんだろう、など気になるところもある。パーム油も、不使用ならいいというわけでもないジレンマにぶつかる。
シャンプーバーは増えてきているので、今後もっと配慮がされていたり透明性が高いブランドやプロダクトがさらに身近になっていくといいな。
ビューティやパーソナルケアをどこまで考えたらいいかは、悩みが尽きない。体質や予算、手に入りやすさなども影響するし、こだわりが強く妥協したくない場合もあると思う。そう考えているとしても、色っぽさを感じなかったり、色気は必要ない、と感じる分野からサステナビリティを取り入れるのは、すんなりと、そして真摯に向き合えるのでオススメの方法です。
THE LITTLE WHIM は化粧品の動物実験と動物由来成分使用に反対しています。取り上げる化粧品は2018年9月以降クルエルティフリー(動物実験をしていない)、くわえて2019年8月以降ヴィーガン(動物由来成分不使用)に限定しています。